「夜の散歩」 永井 りつ子
2024年06月24日
久しぶりに帰省した息子が、夜の遅い時間に散歩に行くといったので、私の心配癖が顔を出し、一緒に行くことにしました。彼の顔を見るとニコニコして私を見ています。高校生になった頃から、一緒に出かけることを嫌がりだした息子です。コロナ禍で大学生になった彼も、もう4年生になりました。サークル活動もままならない中、掛け持ちした一つが写真部でした。今回は部展に出すための写真を撮りに帰ってきたのでした。
その日はあまり天候の良くない寒い日でした。歩きながら見えてきた街灯や看板などで立ち止まってはシャッターを切っていきます。雪よけ透明カバーのついた信号機も珍しいようです。雨に打たれひっそりたたずんでいるポストなども絵になるのです。一番撮りたかった北海道神宮の第一鳥居では、車の来ないタイミングを見計らって、正面から見上げた形で何枚か写真を撮っていました。気に入ったようでスマホにもおさめ、友人に送っていました。
写真を撮っている間のうれしそうな顔、穏やかな表情、真剣なまなざし。息子の意外な一面を発見しました。道の悪い所で注意を促していた私のほうが転んでしまった時、笑いながら当たり前に手を差し伸べてくれました。そのスマートな対応に、私のほうが戸惑ってしまいました。いつの間にかこのような気遣いができるようになったのかと、うれしくも思いました。決して大柄ではない彼の手が、すごく大きく頼もしくみえました。
一時間程の夜の散歩でしたが、私も心の中で何枚かシャッターを切っていました。
投稿者健康管理センター部長 永井 りつ子