「おとしもの」 東 直樹
2024年12月10日

私は、ついうっかりものを置き忘れる癖がある。

昨年、12月にススキノに飲みいった帰りのことである。

6条西3丁目でタクシーを拾って、円山近郊の自宅で降りるときに

タクシーの運転手が

1200円です。」

と言われ、財布を見るとちょうどお札を使い切ってなくなっていた。

クレジットカードで払おうとしたが、小銭入れが膨らんでおり、500円玉と100円玉で払おうとした。財布をタクシーの後部座席において、払って降りてしまった。

タクシーが帰った瞬間

「あ!」

財布をタクシーに置き忘れてしまったのである。

すぐ、後を追ったが、行ってしまった。

翌日、だめもとでA警察署にいって、

「財布を落としてしまったのですが・・。」

「身分証明書は?」

 運転免許証は、置き忘れた財布の中に入っていた。

しかたなく、病院の写真付きのネームプレートを見せると、

「OKですよ」

(ネームプレートでいいんだ。ラッキー?)

「中央区のC警察署に届いています。そこに行ってください。」

「わかりました。」

やった。届いていた。ついている。

1時間後にC警察署についた。

「先ほど連絡を受けたものですけど・・」

「ああ!財布の落とし物ですね。」とにこやかに女性警察官が対応してくれた。

「身分証明書は?」

 運転免許証は、女性警察官が持っている置き忘れた財布の中に入っていた。

また、病院の写真付きのネームプレートを見せると、

「OKですよ」

「ところで、財布のなかにお札は入っていましたか?」

お札がなかったから、小銭で払ったため、置き忘れたのだ。

「入っておりません。」というと怪訝な顔つきになり、

「本当ですか!」としつこく2度も効く。変だな?

「ところでどなた(タクシー運転手)が届けたのですか?」と聞くと、

いつもは、お礼はいらないようですとにこやかに答えるのが、

「お教えできないことになっています。」と強い言動でこたえる。

ん?

変だな?

ふと、思いついた。

「どこで拾ったのですか?」

「南6条西3丁目に落ちていたそうです。」

胡散臭いな。そこはタクシーを拾った場所だ。

おそらく届けたタクシー運転手に

「札を抜いただろう。後で調べればばれるぞ。首を洗って待ってろなどと」と恫喝したに違いない。

だから、しつこく「お札は?」と繰り返す次第。

善意でとどけたのに、警察で犯人扱いされたに違いない。

かわいそうに。あとで届けたタクシー運転手にどういうのだろうか?

おそらく、うやむやにするのに違いない。

怖い世の中ですね。

投稿者 内科部長 東 直樹