NST便り2024.6月号
2024年06月03日

20211206_3.jpg

【嚥下内視鏡検査について】

2024年3月28日に開催した勉強会、「嚥下内視鏡検査でわかる誤嚥の実態」について書かせていただきます。

「嚥下内視鏡検査(以下、VE)」は,「嚥下造影検査」と共に,摂食嚥下機能評価のゴールドスタンダードとして広く普及しています. 外からは診ることのできない,咽頭・喉頭などの諸器官の動きや食塊の動きを観察し,誤嚥や咽頭残留といった異常所見の要因を判別することができます.

VEによる嚥下機能評価は「兵頭スコア」を使用します.

下記の項目の合計スコアを4段階で評価し,嚥下機能正常・リスクあり・経口摂取困難を診断します.

①喉頭蓋谷・梨状陥凹への唾液貯留

②声門閉鎖反射・咳反射の惹起性

③嚥下反射の惹起性

④着色水嚥下による咽頭クリアランス   

画像3.jpg  

①の唾液貯留は嚥下前の唾液貯留状態を評価します.高度嚥下障害患者では,吸気時に梨状陥凹にたまった唾液が喉頭に流入しています.

②の声門閉鎖反射・咳反射は健常者ではファイバーが喉頭にあたると激しくせき込みます.高度嚥下障害患者では咳反射は弱く麻酔もなしで気管内にファイバーが入っていきます.

③の嚥下反射惹起については,高度の嚥下障害患者は唾液・食物がたまっても嚥下反射が惹起されなくなります.

④の咽頭残留は嚥下反射が惹起しても食塊が梨状陥凹・喉頭蓋谷などに残留している状態です.高度嚥下障害では喉頭流入します.

以上を4段階で点数化して

4点以下:普通食をおおむね制限なく経口摂取可能.

58点 :多少なりとも経口摂取は可能だが,補助栄養の併用が必要.または液体へのとろみ添加など食物形態の調整が必要.

9点以上:経口摂取は困難.

当院ではSST(Swallowing Support Team;摂食嚥下サポートチーム)で,対象患者がいる場合,週1回嚥下内視鏡検査を実施しています.実際の食事場面の印象とは乖離している症例や,誤嚥リスクが高くて食事へ移行するのを控えていましたが,内視鏡検査では良好な症例もいました.外見上の判断だけでは患者様の本来の能力を把握するのは難しいと日々痛感しています.

(今回はリハビリ 河崎 大法が担当いたしました)

NST(栄養サポートチーム)

投稿者リハビリ 河崎 大法
カレンダー