NST便り2019.1月号
2019年06月11日

〇 便秘と下痢と腸内フローラ
日常生活の中で、よく経験する便秘や下痢。今回は薬屋さんの広告でよく目にする「腸内フローラ」のことも交えてお話したいと思います。
<便秘>
便秘の定義に明確なものはありませんが、急性のものと慢性のものがあります。大腸がんなどの何らかの疾患に伴う腸管狭窄によるものや、薬の副作用によるもの、甲状腺機能低下症や糖尿病によるものなどがありますが、一般によく経験するのが機能性の便秘といわれるものです。この機能性の便秘は食生活や運動、または排便習慣をつけるなど、日常生活で対応することができます。
<下痢>
こちらも慢性と急性のものがありますが、多く経験するのは急性の下痢で、下剤の飲み過ぎ、細菌が出す毒素によるもの、感染症、心因性・アルコールなどが原因になります。慢性の下痢では過敏性腸症候群などが挙げられますが、がんなどの器質的疾患も原因となることがあります。細菌などによる下痢は生体防御反応としての下痢なので、腸管内の毒素を自浄するためのものになり
ます。

<腸内フローラ>
人の消化管(胃から大腸まで)には体の細胞の数を超える細菌がいて、それらの細菌と私たちは共生しています。特に腸の中の細菌の集まりを「腸内フローラ」と呼んでいます。消化を助けてもらったり、免疫機能を獲得したり、自律神経や精神活動に影響を与えたり(脳-腸相関)とその働きは様々です。
まだわからないことも多いですが、サプリメントで販売されている「プロバイオティクス(腸内フローラのバランスを改善することを目的とした生きた微生物)」や「プレバイティクス(特定の腸内細菌の腸内活動を促進する物質)」は腸内フローラの機能を修復し、健康の維持増進・回復の補助的役割を担うものとされています。「プロバイオティクス」に代表されるものは発酵乳、乳酸菌飲料。「プレバイオティクス」に代表されるものは難消化性オリゴ糖があります。この2つを人工的に組み合わせたものが「シンバイオティクス」として販売されています。
腸炎の治療には効果がないとする文献もありますので、今後の研究の成果を待ちたいところですが、便秘や下痢の予防も含めて、健康の維持増進に有用ではないかと思います。

投稿者薬局 岡部 幸男 NST(栄養サポートチーム)
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