NST便り2021.12月号
2021年12月06日

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今年の夏は、例年になく暑い夏でした。札幌市によりますと、過去100年で札幌の年平均気温は2度以上も上昇しているとのことです。農作物や水産物への影響も心配ですが、私達NSTチームにとっては高齢者の方の脱水もかなり心配です。

<脱水症とは>

体の水分と電解質(おもに塩分)が同時に失われた状態をさします。

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<脱水症と熱中症の違い>

熱中症とは「気温の高い環境で生じる健康障害」のことで、熱中症の初期段階として脱水症が起こりますが、脱水は熱中症以外の原因でも起こりえます。

<熱中症以外の脱水症の原因>

発熱、嘔吐、下痢、食事摂取量不足(食欲不振)など。

<高齢者に脱水症が起こりやすいおもな理由>

  1. 体内の水分量が減っている〜体の中で最も水分を蓄積しているのは筋肉であり、この筋肉量が高齢者では減っているため。
  2. そもそも食事・水分の摂取量が減っていることが多い〜咀嚼・嚥下機能の低下によるものや、尿の近い症状を嫌い、水分をあまり摂らないようにすることがある。
  3. 腎機能が低下している〜尿を濃縮する機能が低下し、薄い尿がたくさん出てしまう。
  4. 喉が渇きにくい〜喉の乾きを感じる脳の働きが鈍くなっている。
  5. 尿の多く出る薬を飲んでいることがある〜高血圧症の治療薬として利尿剤や糖尿病治療薬のSGLT2阻害薬を飲んでいる場合がある。

<脱水症を疑う症状>

  1. 皮膚や口の中の乾燥〜舌や脇の下が乾いている、皮膚をつまんでも元に戻らない、爪を押すと白くなったままピンクに戻らない、など。
  2. 手足の冷感〜握手して冷たく感じる。
  3. 尿の回数・尿量が減る。
  4. ぐったりしている、反応が鈍い。

<脱水症になると>

脳の血流が減少するため、めまい、ふらつき、頭痛、悪心がおこる。高じると意識障害や痙攣が起こる。

全身の臓器血流も減少するため、肝不全、腎不全、心不全などが起こる。

<予防法・治療法>

夏は、気温の上昇に伴う発汗により脱水症になりやすい状況です。普段からこまめに水分を摂る、食事をしっかり摂る(食事には一日約1リットルの水分が含まれていると言われています)ことを心がけましょう。水分を摂る代わりに、果物やゼリーなども良いと言われています。夏は部屋の温度や湿度の管理も重要です。

脱水症になってしまったら、水分と電解質(主に塩分)を同時に補うことが必要です。口から飲める状態であれば、スポーツドリンクや経口補水液が有効です。経口補水液はスポーツドリンクと比べ、塩分が多く糖分が少ない組成になっており、より塩分を吸収しやすくなっています。スポーツドリンクは糖分が多いことから疲労回復に役立つと言われていますが、一方、多量に飲むと糖分を摂りすぎてしまうことがあります。一般に、脱水症の治療には経口補水液、予防にはスポーツドリンク、と言われています。水分をむせやすい場合は、ゼリータイプの飲料を利用すると良いでしょう。

脱水症が高じて意識がもうろうとしたり、倦怠感が強く、口から水分を摂ることが困難な場合は、点滴が必要になります。

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参考文献

・大場真波ほか. 高齢者の病気と薬の基礎知識(第18回)脱水症(水・電解質異常).おはよう21 31(7) : 50-53, 2020.

NST(栄養サポートチーム)

投稿者:IBDセンター部長 折居 史佳