「革」 倉田 佳明
2021年12月06日

私は革製品が好きで、財布などの小物から、かばんなどの比較的大きなものまで、革を使った製品を好んで使っています。その「革」についてお話ししようと思います。

「かわ」といっても、「皮」と「革」では意味が違います。

「皮」は、動物(人間を含む)の皮膚そのもの、あるいは加工されていない、動物の体から剥がされたそのままの状態のものをいいます。皮を加工して、つまり鞣して、製品として利用できるようにしたものが「革」です。

鞣す(なめす)とは、皮から汚れや毛、脂肪などを取り除き、コラーゲン線維に鞣し剤を結合させて、腐敗しない、安定した素材である「革」に変化させることをいいます。鞣し方にもいろいろありますが、大きく分けて植物タンニン鞣しとクロム鞣しがあります。

植物タンニン鞣しは古くからある手法で、植物から抽出したタンニンを用います。手間がかかるため、これを行う業者(タンナー)は徐々に減っており、また値段もやや高価になってしまいます。しかし革の持つ風合いや、経年変化を好む人は少なからずいて、自分もその一人です。欠点としては水に弱いことや、定期的な手入れが必要なことでしょうか。

一方のクロム鞣しは、鞣し剤として塩基性硫酸クロムを用いたものです。時間と手間がかからず、発色の良い、比較的水に強い革ができます。手入れも植物タンニン鞣しほど必要ないので、多くの製品に使われていますが、革らしい経年変化などはあまり楽しめません。

どちらの鞣し方が良いとか悪いとかではなく、製品の用途や使う人の好みで決めれば良いと思いますが、個人的には植物タンニン鞣しの革が好きです。

世の中の大半の物は、新品の時が最も良い状態で、あとは時間とともに古ぼけて、魅力がなくなっていきます。でも中には、きちんと手入れをしてあげれば(あるいは放っておいても)、使っているうちに味が出て、どんどんとかっこ良くなっていく物があります。ジーンズとか、外壁や塀に使われるレンガとか。

植物タンニン鞣しの革もそのひとつ。使い込んで、手入れをしてあげると、革は徐々に艶やかになり、色の深みが増していきます。くったりとした柔らかさが出て、道具としても使いやすくなります。

そうやって「育っていく」革製品を使っていると、どんどんと愛着がわいていきます。

そして気づくと、革製品だらけの沼にはまっていくのです。

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投稿者副院長・外傷センター長 倉田 佳明