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「稀有」 板谷 眞理恵
2025年02月19日
めったに無いものを見た時に「稀有 けう」という言葉を使うことがあるそうです。
「たぐいまれ」や、「比類無い」と表現されますが、「有」という言葉がぴったりだと
感じる風景に以前出会いました。
美瑛をドライブしていた時のことです。突然、写真のような風景に出くわしました。
遥か遠くに雪山を望む中で、ひときわ存在感を放つ桜の木。
桜の木を身近に見てきた私は、同じ視線にあるはずがない雪山に心を奪われました。
多分桜の木だけを見ても、雪山を仰ぎ見るだけであっても感じることがない
心地よい違和感がそこにありました。
偶然出会ったこの風景には、何か特別な意味があるように思えました。
桜はようやく暖かくなってきた北海道の春の象徴。それに対して雪山は、
厳しい冬を耐えながら、じっと対峙する存在。
その二つが同時に視界に入ってきたときには予想外の風景に戸惑いを覚えました。
一瞬で通り過ぎてしまうことを思い出して、心を無にかみしめてみました。
とにかく心に残る経験でした。
「稀有」には、替えの効かないという意味もあります。
普段あたりまえに近くにいてくれる存在が、何かの拍子に実は替えの効かない
存在であることを気が付かされました。
投稿者 薬剤部 薬局長 板谷 眞理恵