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「災害医療」 斎藤 喜博
2025年04月09日
「天災は忘れた頃にやってくる」という言葉通り災害等の経験は
日々の生活をしているうちに徐々に薄れてしまいます。
昔の話になりますが私は1995年に札幌徳洲会病院に入職し、1999年9月台湾921大地震に災害医療援助隊として
約2週間被災地に入り活動を経験しました。
当時は災害医療援助体制も今ほど整っていなく、災害翌日の朝、外科の先生が臨床工学室に来て
台湾に行ける技士はいるかと言う言葉に手を挙げました。
その日の午前中に荷物をまとめ午後には出発という状況でした。
被災地、台湾中部の台中に入ると崩壊した建物も多く、倒壊した高層ビルの屋上が
地上から見える状況に驚愕したのを今でも憶えています。
被災地での活動は出発当初、クラッシュシンドロームの患者が多数出ているので
急性血液浄化が必要になる事から臨床工学技士が必要との事で招集されました。
実際の現場では重傷患者はほぼ被害の少ない台北市等の病院に搬送され、
各避難所で日中軽症患者の診察をグループに分かれ行い衛生管理や患者さんのケア等を行う状況でした。
寝泊まりは避難所の小学校グランド一部に徳洲会のベースキャンプを作り、テントに泊まり食事は炊き出し
、数日に一度は台北市の協力病院で休養をとるという過酷な状況でした。
そんな中、同じ避難所に寝泊まりしている被災者の方が感謝の言葉と共に
温かい烏龍茶を入れてくれた事が印象的でした。
この活動で災害により起こりうる計り知れない経験をする事ができました。
北海道でも胆振東部地震での札幌ブラックアウトが記憶に新しいですが、
あの停電が真冬に起きたらと考えると日々の備えの重要性を感じます。
投稿者 臨床工学科 技師長 斎藤 喜博