NST便り2018.4月号
2019年06月07日

4月に入り,新しい年度が始まりました.当院NSTも担当医師,看護師が入れ替わり,新しい体制でスタートいたします.今年度もよろしくお願いします.
今年度最初のNST便りは「アミノ酸スコア」について少しお話をしたいと思います.


<「アミノ酸スコア」って?>

食品のタンパク質の評価を数値化した基準は,古くは「プロテインスコア」(1957年:FAO)と呼ばれていましたが,人のアミノ酸必要量に基づいた現在の「アミノ酸スコア」という呼称は1973年にFAO/WHOが提示したものです.

人のタンパク質(筋肉,肌,髪の毛など)は,DNAの遺伝情報に基づいて20種類のアミノ酸から合成されますが,そのうちどれか一つでも欠けているとタンパク質を正しく作ることができません.(「アミノ酸の桶の理論」といわれています)
しかも,20種類のアミノ酸全てが人の体内で作れるわけではなく,食品から摂取しなければならない「必須アミノ酸」と呼ばれるものが9種類存在します.
「必須アミノ酸」をどれだけ含んでいるか,すなわち人にとってどれだけ良質なタンパク質であるかという目安を数値化したものが「アミノ酸スコア」と呼ばれているものです.アミノ酸スコアが100点の食品が最もバランスの良いタンパク質を含むということになりますが,食品で例を挙げますと・・・

・ 牛肉,豚肉,鶏肉,卵,牛乳--100
・ あじ,鮭,カツオ--100
・ 米--65
・ 食パン--44

となります.ひとつの食材で賄おうとすると1日当たり牛肉で約500g,牛乳で約1.8 ℓ,豆腐で3~4丁になりますので,毎日の食事としてはあまり現実的ではありません.

良質なタンパク質の摂取不足が続くと様々な不調をきたしてきます.筋力の低下が起こると体の基礎代謝量が減少するため,太りやすく痩せにくい体質になります.肌や髪の毛のハリやツヤを維持するコラーゲンなどはたんぱく質から構成されているので,肌に弾力がなくなったり,髪にコシが無くなったります.体内の神経伝達物質はアミノ酸からできているものもあるので,集中力や思考力が低下することがあります.

タンパク質は基本,毎日の食事から十分摂取できます.なるべくなら,ダイエットや忙しさで食事を抜いたり,適当に済ませたりしないよう気をつけていただきたいと思います.

投稿者薬剤師 岡部 幸男
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