腑に落ちる
2013年06月12日
自分には経験できない世界とか仕事が世の中にはたくさんあって、看護師はそれを仕事を通じて聴くことができるいい仕事です。入院の時にアナムネーゼという問診を行うんですが、例えば腰が痛い人が入院してきて、「日常どんなお仕事をされてますか?」「長距離トラックの運転手です」「へええ 長距離運転って私にはわからない世界ですが、どんな生活なんですか?」「荷物を積んで本州までフェリーに乗って走り続けです。長いときは帰るまでに一週間かかります」ってなことをおっしゃる。
「当たり前のことですけど、その間ずっと座り通しなんですね」「そうそう、10時間とか走り続けるからね。着いたら荷おろし、また荷積みでしょう。で、また乗り続けて帰ってくる。だから腰が痛くなるんだ」(だから腰が痛くなるのか!)

相手の話がミゾオチのあたりで「なるほど、わかった」と感じ取れたらそれが「腑に落ちる」ってことなんです。「はあ、ようくわかりました。それは大変なお仕事ですね」と自然に出てきますし、この方は治療のあともこの仕事に戻られると思うと、入院中にどこまで治ってどんな退院指導が必要かとイメージが膨らみます。

「腑に落ちる」。私はこの言葉が昔からなんとなく好きで、腑に落ちた感覚があると相手との距離が急速に近くなる感じがします。体感し、共感するってことなんですね。
これはベテランナースにしかできないというものではありません。真摯に、親身に話を聴く、そしてこの人の役に立ちたいと思う心があれば、もしかすると新人の方がよく聴けるかも知れません。新人には新人にしかできない看護があります。
 
喉の渇きを我慢して、冷たいビールを飲んだときにも「五臓六腑にしみわたる」なんていい方もしますね。私は下戸ですけど・・
投稿者前看護部長 工藤 昭子
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