NST便り2017.8月号
2019年06月05日

みなさん,こんにちは.
今回はダイエットに効果があるといわれているココナッツオイルが,認知症の予防にも効果があるのではないかといわれていることについてお話しします.

<ココナッツオイルの効果・効能>
ココナッツオイルに含まれる油脂は「中鎖脂肪酸」と呼ばれます.「中鎖脂肪酸」は,腸管から吸収された後,すぐに肝臓で処理され,脳や体がエネルギーとして利用できる「ケトン体」に変換されます.「ケトン体」はブドウ糖と同様に脳まで届き,エネルギーとして使われうる物質です.「ケトン体」は身体内でも消費され,体内にとどまらないことが特徴です.

このケトン体を利用した「ケトン体ダイエット」は,低炭水化物(低糖質)食を一定期間以上続けると,肝臓が「体内にすでにある脂肪」を分解して、ケトン体を作ってエネルギーとして使い始め,減量につながるという考えによるものです.このためケトン体に変換されるココナツオイルはダイエットに効果があると言われています.

では本題であるココナッツオイルによる認知症予防について説明したいと思います.
認知機能が低下している脳では,通常の脳で使われている「ブドウ糖」がエネルギーとしてうまく使えなくなっています.ただし,「ケトン体」はエネルギーとして使うことができるので,脳のエネルギー不足は改善され,神経細胞の死滅がそれほど進んでいなければ,認知機能も改善できるということのようです.今のところ統計的な評価は得られていませんが,効果があった例も実在するようです.

認知症以外にも,自閉症などのさまざまな脳や神経の疾患について、ココナッツオイルのような「中鎖脂肪酸」を摂取する,「ケトン体食」を実践する試みあり,効果がある方もおられるようです.

今回は簡単にダイエット・認知症の予防について説明しましたが,ココナッツオイルは他にも便秘解消・日焼け防止・乾燥予防など様々な効果があるといわれています.

注意しなければいけないこともいくつかあります.
・ココナツオイルは糖質と一緒に摂取すると「ケトン体」が作られにくくなります.
・「ケトン体」を作るためには大さじ2杯を一度に摂る必要があります。
・脂質なので,ココナツオイルを摂取する分,他の食品でのカロリー制限が必要.
味やにおいが独特で苦手な方もいると思いますが、さまざまなレシピが出ていたりするのでぜひ試してみてください。

今回は6階西病棟看護師 本村美貴が担当しました)
NST(栄養サポートチーム) : 岡部 幸男(薬局)

水分のとろみは,嚥下障害の患者にとって,誤嚥を防ぐ基本かつ重要な対処法です。このNST便りを読んで、普段とろみをつける際に参考にしてもらえたら嬉しいです.
何かわからないことがあれば,いつでも言語聴覚士にご連絡下さい.

投稿者言語聴覚士 河崎大法
カレンダー