「糸切り歯」 三浦 美文
2019年08月26日

 ネットで昭和の親父言葉、死語なるもの見ていた。使うと年寄り認定されるとか、幾つわかる?とクイズ形式になっていたりします。しかし、悲しいかな知らないものはなく、むしろ懐しく感じられる。実際、親父なのであたり前田のクラッカーです。

 ところで、糸切り歯って分かりますか?若い子の多くは知らないようです。糸切り歯は前から3番目の尖っている歯のことです。犬歯(これも知らない人がいるかも)、八重歯ともいわれます。肉食獣の牙に相当し獲物に致命傷などを追わせる歯です。八重歯は可愛い象徴として取り上げられる時もありますが、これは日本だけです。糸切り歯の由来は、かつてこの歯で糸を切っていたからそう言われています。現代では、歯で糸を切る習慣が無くなったため死語になってきています。

 人間の糸切り歯の本来の役割は何でしょう。咬み合わせや顎の機能から重要な歯で、顎を動かす時にガイドとなる歯です。たとえば、軽く咬み合わせた状態から左右に顎を動かす時にその歯で誘導するのが良いとされています。負担がかかる歯なので根の長さが一番長いです。糸を切るための歯でもなく、八重歯では本来の機能を果たすことができません。糸切り歯の誘導が失われると、それより後ろの歯に過重な負担がかかり悪影響を及ぼすこともあります。それは、奥歯は根の方向に真っ直ぐな力には強いのですが、歯を倒すような横の力には弱いからです。

 軽く咬んで顎を左右に動かしてみて下さい。その時に動かす方向にある糸切り歯を中心に誘導しているかを確認してみて下さい。そうではなく、動かす側と反対の奥の方の歯が当たって、本来接触しているはずの糸切り歯が当たっていない場合は特に注意が必要です。不安な方は、かかりつけの歯医者さんに相談してみると良いでしょう。

投稿者歯科部長 三浦 美文
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