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「NO TITLE」 4階亜急性期病棟主任  工藤 清一

投稿日時:2010年2月3日 09:44 水曜日

私の母は理容師の免許を持っており、生まれてから進学で札幌に来るまでの24年間、ずっと母に散髪してもらっていました。昨年末、行きつけの床屋さんが休業してしまい、新年にふさわしくないボサボサ頭で正月勤務をしました。その後も開店する様子はなく、かといって知らない床屋さんは何となく入りずらく困った私は久しぶりに母に頼むことにしました。

夜勤明け、実家に帰り夕食を済ませた後、年季の入った道具を取り出し散髪が始まりました。「あれーまた薄くなったんじゃない?」親子なので本当の床屋ではあり得ない禁句も出てきます。私は気のない返事をするだけ。刃物を持っている人間には逆らえません。いざ始まると少し切っては離れて眺めるを繰り返します。老眼が進んでいるようです。

眺めては「あれー」とか「うーん」とか言います。多分近くで切っているときはほとんど見えていないのでしょう。疲れを心配し「もう簡単でいいぞ」と言ってもなかなかやめようとしません。母は昔から一旦やり始めると粘るたちです。草むしりをやらせるとたぶん近所一です。
「これでいいかな。ふー」終了の合図とともに洗髪しに洗面台へいきます。そこで初めて鏡を見ると「お、なかなかじゃない」ボサボサ頭がきれいに整頓されていました。元が元なのでかっこいいかはともかく、これなら詰所に貼ってある院内身だしなみマニュアルのモデルにもなれそうです。(モデルになりたいという意味ではありません。)なによりも母の腕が落ちていないことに安心しました。腕前を落とさないためにもまた切ってもらおうかな。手先の運動は老化防止になると言うし。

子供のころ、天気のいい日は外で散髪しました。陽気に照らされチョキチョキという音を聞くと眠くなり頭がゆれる為「切りずらいから寝ないで」と怒られました。この次は童心に帰って季節のいい時に外で切ってもらおうかな。玄関前には八重桜の木があり、庭にはたくさんの花が植えられています。花が咲く時期、裏山からはかっこうやうぐいすの鳴き声も聞こえてきます。桜が満開の頃、木の下で散髪してらうと気持ちよさそう。終わった後のビールもうまそう(童心に帰ってない) いっそ焼き肉でもしようか。今、母の作業療法を名目にアウトドア散髪を計画しています。

その前によく見える老眼鏡をプレゼントしないと。

投稿者:4階亜急性期病棟主任  工藤 清一

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