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NST委員会

NST便り11月号


 

≪お酒のおつまみについて≫

秋が深まり,少しずつ寒い日が増えてきています.年末に向けて,様々なイベントでお酒を楽しまれる機会が多くなってくると思います.
今回は,お酒を飲む際に必要となる栄養素を補えるような,お酒のお供に最適なおつまみの選び方をお話しします.

〇 ビタミンB1
お酒を飲むと,アルコールを分解する過程でビタミンB1が消費されます.さらにアルコールは,ビタミンB1 の吸収を悪くして,排泄を加速させる作用があるので,お酒を飲むときには大量のビタミンB1が必要となります.
ビタミンB1が不足すると,糖質をきちんと代謝できず,乳酸などの疲労物質が体内に蓄積し,疲労感が強くなります.飲み会の次の日などが辛いのはこのためなのですね.
ビタミンB1は,枝豆,納豆,冷ややっこ,レバーの焼鳥,豚肉などで補うことができます.

〇 ナイアシン
ビタミンB1とともにアルコールの分解に密接に関わっています.アルコールの分解に必要な補酵素として,肝臓の手助けをしています.ナイアシンが不足すると皮膚炎や下痢を引き起こしてしまいます.
肉類や魚類に含まれますが,おつまみとして選ぶなら,きのこ類がおすすめです.肉類,魚類のみのおつまみはカロリーや脂質の摂りすぎに注意が必要です.

〇 亜鉛
お酒を飲む方におすすめなのが亜鉛です.亜鉛もまたアルコールの分解を手助けする働きがあるので,肝臓の負担を減らすことができます.
また,アルコールに強い人は普通の人よりも亜鉛を多く持っているそうです.そのため,アルコールの分解が早いので酔いにくいのですね.
亜鉛が不足すると酔いやすくなり,二日酔いを起こしやすくなります,
蒸し牡蠣や焼き牡蠣,チーズ,たたみいわしなどから摂取できます.

また,乾きものを選ぶなら,さきいかや小魚などからナッツ類に変更すると,コレステロールの摂取を抑えることができ,アミノ酸,ビタミン,ミネラルなどが補給でき,さらに血糖値の上昇まで抑えてくれます.
過剰なアルコール摂取はもちろん害が大きいですが,適度な量であれば,大きな害はないとされています.HDLコレステロールを増加させ,血液をさらさらにするなどの作用もあるようです.
自分の体と相談しながら,無理なく楽しくお酒を楽しみたいですね.

今回は5階西病棟看護師 中村 風穂が担当しました)

NST便り10月号

≪サルコペニアとリハビリテーション≫

みなさま,サルコペニアという言葉を聞いたことがありますか?
私たちの筋肉の量は,筋タンパクの分解・合成の繰り返しによって維持されています.
サルコペニアは『筋肉減少症』ともいわれますが,「筋力低下が起こること」を指す造語です.加齢,活動制限,栄養不良,疾患によりタンパク分解が合成を上回ったときなどに発症します.
また,発症により身体機能の低下(耐久性の低下など)や嚥下障害などをきたす可能性もあります.

サルコペニアへの対応は原因によって異なります.
① 加齢   :適切な栄養管理と筋力トレーニング.
② 活動制限 :身体や嚥下の筋力量維持,速やかに離床や食事を開始する.
③ 栄養不良 :適切な栄養管理.
④ 疾患   :原因疾患の治療.
        コントロールが不十分なときは,飢餓予防の栄養管理と廃用予防のリハビリ.

まず,栄養をしっかり摂取することが大切ですが,同時に適切な運動療法(リハビリ)が必要になります.重度の栄養障害もしくは不適切な栄養管理の時は,身体機能の改善が難しく,訓練内容の配慮が必要であり,無理な筋力トレーニングや持久力トレーニングは逆効果です.
ただし,栄養状態改善中であれば,重度の栄養障害であっても身体機能を改善できることもあります.

<栄養指標によるリハビリテーション栄養の目標設定>



 



 

主なリハビリ内容としては,関節可動域訓練,ポジショニング,ストレッチ,物理療法,呼吸訓練,座位訓練,ADL訓練などがあり,あまり負荷をかけずに20分を目安に施行するのが良いとされています.

「最近痩せてきた」,「普段の生活が出来ないほど体力がない」などの症状がある方はサルコペニアかもしれません.心当たりのある方はNSTスタッフやリハビリスタッフに相談してみて下さい.
 (今回は言語聴覚士 稲井宏則が担当しました)

NST便り8月号


 

みなさん,こんにちは.
今回はダイエットに効果があるといわれているココナッツオイルが,認知症の予防にも効果があるのではないかといわれていることについてお話しします.

<ココナッツオイルの効果・効能>
ココナッツオイルに含まれる油脂は「中鎖脂肪酸」と呼ばれます.「中鎖脂肪酸」は,腸管から吸収された後,すぐに肝臓で処理され,脳や体がエネルギーとして利用できる「ケトン体」に変換されます.「ケトン体」はブドウ糖と同様に脳まで届き,エネルギーとして使われうる物質です.「ケトン体」は身体内でも消費され,体内にとどまらないことが特徴です.

このケトン体を利用した「ケトン体ダイエット」は,低炭水化物(低糖質)食を一定期間以上続けると,肝臓が「体内にすでにある脂肪」を分解して、ケトン体を作ってエネルギーとして使い始め,減量につながるという考えによるものです.このためケトン体に変換されるココナツオイルはダイエットに効果があると言われています.

では本題であるココナッツオイルによる認知症予防について説明したいと思います.
認知機能が低下している脳では,通常の脳で使われている「ブドウ糖」がエネルギーとしてうまく使えなくなっています.ただし,「ケトン体」はエネルギーとして使うことができるので,脳のエネルギー不足は改善され,神経細胞の死滅がそれほど進んでいなければ,認知機能も改善できるということのようです.今のところ統計的な評価は得られていませんが,効果があった例も実在するようです.

認知症以外にも,自閉症などのさまざまな脳や神経の疾患について、ココナッツオイルのような「中鎖脂肪酸」を摂取する,「ケトン体食」を実践する試みあり,効果がある方もおられるようです.

今回は簡単にダイエット・認知症の予防について説明しましたが,ココナッツオイルは他にも便秘解消・日焼け防止・乾燥予防など様々な効果があるといわれています.

注意しなければいけないこともいくつかあります.
・ココナツオイルは糖質と一緒に摂取すると「ケトン体」が作られにくくなります.
・「ケトン体」を作るためには大さじ2杯を一度に摂る必要があります。
・脂質なので,ココナツオイルを摂取する分,他の食品でのカロリー制限が必要.
味やにおいが独特で苦手な方もいると思いますが、さまざまなレシピが出ていたりするのでぜひ試してみてください。

今回は6階西病棟看護師 本村美貴が担当しました)
NST(栄養サポートチーム) : 岡部 幸男(薬局)

NST便り7月号

自分の健康は自分で管理していくという「セルフメディケーション」という言葉が使われ始めて数年が経過しました.

増大する医療費,特に医療機関に支払われる金額は膨大であることは皆さんも新聞やニュースなどでよくご存知でしょう.国がいう「セルフメディケーション」は,「軽い病気なら医療機関にかからず,ドラッグストアなどで市販薬を購入し,治していきましょう」という意味合いが含まれています.実際,自分の健康管理に興味を持つ人が増えてきており,多種多様な健康食品,ビタミン剤,サプリメントが商品として世の中に登場するようになりました.個々の栄養成分が,通常の食品に含まれる量よりも多いため,長期の飲用,または医療機関から処方されている医薬品との相互作用などで,逆に健康に害を及ぼすこともみられるようになりました.今回は健康食品と薬の相互作用について,総論的なお話をしたいと思います.

普段,自分が服用もしていない医薬品の名前を挙げられても,ピンとこない方が多いと思いますので,なるべく健康食品を軸にお話を進めていきたいと思います.
医薬品は基本的には,身体にとっては「異物」なので,勝手に体に取り込まれないために,ある特定の蛋白質が利用されます.吸収されたあとも血液中では蛋白質と結合し自由に体のあちこちにいかないようにしています.「異物」なので,体に入ってきたら速やかに無毒化されたり,すぐに排泄されたりもします.
しかし,大量に摂取された食物成分は,医薬品の吸収・分布・代謝・排泄の思いもよらないところで,悪さをしたりすることがあるのです.よく知られているものでアルコールがあります.アルコールは薬を無毒化することを邪魔するので,薬の効果が長引きます.グレープフルーツジュースがある特定の血圧の薬の効果を増強してしまうのも同じ理屈です.

身体に比較的安全だと思われているビタミン剤も水溶性,脂溶性を問わず様々な医薬品の効果への影響が知られています.有名なところですと,ワーファリン(血液凝固阻止剤)は多量のビタミンKと服用するとその効果が減弱します.逆に多量のビタミンEと服用すると効果が増強することが報告されています.

健康食品と医薬品の相互作用は挙げればたくさんありますが,個人差や体調,生活習慣の変化など,影響を与える様々な要因があります.正しい知識をもっていれば,健康回復・健康増進には有用ですし,病気の予防に役立つこともあります.まずは添付されている注意書きを良く読み,解らないことがあった時は購入した薬局や診察に訪れた病院で医師や薬剤師に相談してみるのも良いかもしれません.

(今回は薬局 岡部幸男が担当しました)



 


 

NST便り6月号

「ラーメンがたべたい・・・」

人間は形のある塊=固体に見えますが,実際はその約2/3は”水”からなっています.
水は,この環境では固体ではなく液体なので,そのままでは流れ出ていって,また蒸発してなくなってしまいます.そのため,実際は油の袋に囲まれて蓄えられているのです.
では,なぜわれわれが水を囲う必要があるのでしょうか?それは,われわれの生命活動=電気的活動が金属のような固体のなかではなく,水の中で営まれているからです.具体的には,水の中で種々のイオンを介して,電子の移動が行われています.
イオンは,原子や分子から電子を失ったり,与えられたりして,水のなかで,水=水酸イオンやハイドロニウムイオンと相互作用しています.このなかで最も大きな役割を担っているのはナトリウムイオン(Na)でしょうか!
ナトリウムは電子を2+8+1=11個もったアルカリ金属で,容易に電子を1個失って 陽イオンになります.この+の電荷がまさに細胞の電気的活動に必須です.

では,身体の中のナトリウムの総量はどのくらいでしょうか?
総量は60 mEq/kgすなわち60 kgのヒトで3.6 mol,すなわち塩化ナトリウム相当で約200 gです.このうち摂取,排泄されうる交換可能塩分は2/3で,70 gです.このように大量のナトリウムが必要なヒトですが,ではそれはどこから得られるのでしょう.もちろん口から=経口摂取され,そのほとんどは尿として排泄されます.
身体の中のNaは主に血管内にあり,その最大の働きは,血管のなかに水を貯めることです.血管は細胞の中の水やイオン,物質を交換する”運河”の役割ですから,ながれる水は物理的には多いに越したことはありません.しかし複雑なヒトの構造ではその流れを作り出す”心臓”や,通り道である”血管”の容量は限られており,単純な増加が必ずしも良いことをしないわけです.
このような理由から,ナトリウム=塩の過剰摂取→血管内水分の増加→心負荷→血圧上昇という単純な図式化が主張されています.しかしNaは血管内の水分維持に必須ですから,実際大切なのは十分な摂取と適切な排泄が行われることです.例えば当院の新規入院患者*や慢性期医療機関での入院患者調査**でも,1/3もの多数が低ナトリウム性の脱水,低栄養を示していました.
腎機能障害や心不全,肝機能障害などがなければ,Naの1日最低必要量は150-200 mEq,塩で9-12 g相当です.長期的な塩分の過小摂取は脱水や低栄養を招きます.
「過ぎたるは及ばざるがごとし」ですが,塩分は必要不可欠なもので,単純な悪人ではありません.

《 まとめ 》
 排泄量をこえた過剰塩分摂取は,長期的に害である.
 過剰な塩分制限は,著名な脱水を招く.

*ヘルスケア・レストラン 22: 22-23, 2014
**日本慢性期医療協会 武久洋三会長 会見資料:2017年4月13日,5月11日

(今回は脳神経外科 黒川泰任が担当しました)

NST便り5月号

みなさん,こんにちは.

みなさんは,「摂食嚥下障害」という言葉をご存じですか?
『摂食』とは食べること,『嚥下』とは飲み込むことをいいます.この2つが様々な疾患や障害によって難しくなることがあります.それが「摂食嚥下障害」です.
私は、昨年の6月~12月までの半年間,日本赤十字広島看護大学 摂食嚥下障害看護認定教育課程の研修に参加させていただきました.
今回,その研修で学んだことをお話したいと思います.

< 口から食べることの大切さ >
食事は,私たちが生きていく上でとても大切な行為です.
食事をするということは…



 



 


食事している場面を想像した時,このようなことが思い浮かびませんか?
食べることは体に栄養を与えるだけでなく,味や見た目を楽しむ,食感を楽しむなど,気持ちの面でも影響を与えています.私たちは,何気なく飲んだり,食べたりしています.しかし,これには仕組みがあり,次のようなことが自然に行われているのです.

< 摂食嚥下とは >
①食べ物を認識して,どんな食べ物か,どんな食具(スプーンや箸など)で食べるのかを考える.
②食べ物を口に運び口に入れる.
③口に入れた食べ物を噛んで飲み込みやすい形にする(食塊形成).
④気管に入らないように「ふた」がされ,咽頭に送られる.
⑤食道に送られる.
以上が「摂食嚥下」という食べることの仕組みです.
このような仕組みが様々な疾患や障害によって,食物を食べ物と認識できない,食物を噛むことが難しい,飲み込みにくい,むせてしまう,その結果,誤嚥性肺炎を繰り返すといったことが起きることがあります.
それが「摂食嚥下障害」です.                     
                            
< 「摂食嚥下障害」の原因とは >
・脳梗塞や脳内出血などの脳血管疾患.
・筋萎縮性側索硬化症や筋ジストロフィーなどの筋・神経疾患.
・精神疾患.
・口腔癌,舌癌などの頭頚部癌または手術後.
・口蓋裂,脳性麻痺などの先天性疾患.
・加齢や認知症による嚥下機能の低下.
このように多くの原因があり,複数の原因が重なっている場合もあります.例えば,脳梗塞や脳内出血を起こし,麻痺などの障害に加齢による影響が重なって,障害が重くなるなどがあります.

< 「摂食嚥下障害」のための食事の工夫 >
「食べること」は,味や食感・見た目などの楽しみや,栄養を維持するためにも必要なことです.噛みにくい,飲み込みにくいなど,ひとりひとりの状態に合った食事内容や方法を考えることが必要です.ごはんをやわらかくする,細かくする,とろみをつけるなどの工夫をする,安全に食べるための姿勢を工夫することで,「食べること」が可能となることもあります.


私は今回,研修に参加し,「摂食嚥下障害」について学びました.しかし,実際には摂食嚥下障害の可能性に気付かず,その改善のために,リハビリや食事内容の工夫をすることなどが,まだよく知られてないということもあります.当院には口腔リハビリを行う「言語聴覚士」という資格をもった,口腔リハビリを行う専門職が活躍しています.それ以外のスタッフも皆さんが食べることに対して,お手伝いできるように活動しています.私も一緒にお手伝いさせていただきたいと思います.

(今回はICU看護師 髙橋美和子が担当しました)

NST便り4月号

<酵素について>
最近はメディアを通じて,様々なダイエット方法が紹介されています.今回は,その中で少し気になった「酵素ダイエット(=毎日経口でとるもの)」について書きたいと思います.

1940年代にエドワード・ハウエル博士が提唱した「酵素栄養学」の中で,人間の体内にある酵素を大きく「消化酵素」と「代謝酵素」,そして食物に含まれる「食物酵素」の3種類に分けています.ここでいう『酵素』とは食べ物の消化を始め,皮膚の新陳代謝,血液の循環など,体のあらゆる働きに関わっています.酵素が不足すると,消化不良や肌の不調など,体調にすぐ影響が表れるようです.

○消化酵素
その名の通り,食べたものを体が吸収しやすいように消化するためのもの.たとえば,ご飯などに含まれるデンプンを分解するのはアミラーゼ,肉などのたんぱく質の分解はプロテアーゼ,脂肪の分解にはリパーゼという酵素が働いています.これら消化酵素の働きにより,分解された栄養素が小腸で吸収され,体のためのエネルギーとなります.

○代謝酵素
消化酵素によって栄養素がエネルギーになったら,それを体の中で働かせるのが代謝酵素です.運動,呼吸,脳での思考,老廃物の排出,ウィルスと戦う,肌の新陳代謝など,人間の生命活動のあらゆるシーンで無数の代謝酵素が働いています.

○食物酵素
名前の通り,食べ物に含まれている酵素のことを言います.新鮮な生の野菜や果物・お刺身,納豆やみそなどの発酵食品に含まれる食物酵素は,消化を助け,体内の消化酵素の無駄遣いに歯止めをかけてくれるようです.
酵素の多い食べ物の例
・キウイ・パイン:たんぱく質分解酵素を多く含んでいる
・バナナ・だいこん:でんぷん分解酵素を多く含んでいる
食べ物だけで補うことができない場合は,サプリメントなどで酵素を摂取することができます.

人体の細胞には様々な働きがあり,たくさんの酵素が関与しています.このため,体の調子を整えるということがダイエット(毎日の食事)という立場から話題になっていると思われます.参考にしてみてください。

(今回は4階東病棟 山本 智美が担当しました)

NST便り2月号

<第20回 日本病態栄養学会学術集会 参加報告>

2017年1月13日から15日に京都国際会館で開催された「第20回日本病態栄養学会学術集会」に参加いたしました.今回の学会は20回という節目に当たるため,通常2日間の開催期間を1日延長して3日間の日程で開催されました.

徳洲会グループでは湘南鎌倉総合病院から2題,当院から2題の計4題と少し寂しい思いをしましたが,学会全体は学生も含め,過去最多の5112名が参加し,非常に盛り上がっていました.

当院からは管理栄養士・北村の「入院後,全身状態が急変した患者に治療とともにNST が介入して,栄養状態が改善できた一例」と薬局・岡部の「NSTの介入と薬剤調整により,栄養状態が改善した症例」の2題を口演発表させて頂き,座長の先生並びに会場の方からも質問をいただき,大変勉強になりました.
 
会期全体を通しては,症例報告,ポスター展示,教育セミナーなどはもちろんですが,学生の研究発表も非常に多く,普段とは違う目線で勉強することができました.基調講演,教育セミナーでは, NST関連のデータを用いて,NSTがきちんと機能すれば,入院患者の入院日数,治療費,重症度も下がることと,厚生労働省が望んでいる件数にまだまだ達していないことなどの話がありました.また,NSTだけに関わらず,チーム間連携を強調されるお話がとても多い印象を受けました.
 
今後も症例をたくさん経験し,業務の質を高めながら,症例報告だけではなく,前向き研究や後ろ向き研究などにも取り組んでいきたいと思わせてくれる学術集会でした.

(今回は薬剤師 岡部 幸男が担当しました)



 

NST便り1月号

◎「とろみ」について
水分にとろみを付加すると,誤嚥を予防できることはご存知と思います.では,とろみをどのくらい付加したら良いか悩んだことはないですか? マニュアルがなかっため,とろみの調整に苦労したことがあるのではないかと思います.
近年,日本摂食嚥下リハビリテーション学会で,とろみの粘度を明確に決定しました.今回はこの「とろみ」についてお話ししたいと思います.
まずは「とろみ」の付加を3段階に分けて整理します.①薄いとろみ,②中間のとろみ,③濃いとろみの3つがあります.この3つがどのような粘度なのか,下の表にまとめました.



 


さらに,とろみの粘性をわかりやすく検査する方法もあります.それがこちらのシートです.

Line Spread Test(LST)というものですが,円の中心に筒状のリングを置き,20 mlのとろみ水を中心に注ぎます.30秒間静止した後,リングを持ち上げて,とろみ水がどの程度広がるかで,とろみの粘性がわかるのです.とても簡単で使いやすいですよ.



 


水分のとろみは,嚥下障害の患者にとって,誤嚥を防ぐ基本かつ重要な対処法です。このNST便りを読んで、普段とろみをつける際に参考にしてもらえたら嬉しいです.
何かわからないことがあれば,いつでも言語聴覚士にご連絡下さい.

(今回は言語聴覚士 河崎大法が担当しました)

NST便り12月号

《インフルエンザと食事》

12月になって寒さも一段と厳しくなり,インフルエンザ流行の時期を迎えました.
インフルエンザはインフルエンザウイルスによる感染症です.インフルエンザに限らず,私たちの体は,細菌やウイルスに感染すると,体温が上昇したり,心拍数や呼吸数が増えたり,血液中の白血球が増えたりといろいろな変化が生じます.これらは,細菌やウイルスなどの微生物の侵入を撃退するための反応でもあるのですが,この反応が過剰になると組織や免疫系を障害することもあります.インフルエンザウイルス自体に対する治療も重要ですが,今回はこのような体の反応を助けてくれる食事のお話をしたいと思います.

<インフルエンザにかかった際の食事>
自宅療養でよく云われることは,まず,「水分をこまめにとる」ことです.その際,カフェインを含む飲料は控えましょう.カフェインはその代謝に水分を消費し,利尿効果があるため,逆に摂取した水分を失わせてしまいます.
食欲がない時は無理に食事をせず,食べられるのであれば,消化の良いものがおすすめです.
例えば、ヨーグルトは熱で死んでしまった腸の中の善玉菌を作ってくれます.うどんやおかゆは消化に良い食べ物で有名ですが,実は炭水化物だけではなく,それなりの蛋白質も含んでおり,それなりの効果があるようです.
あとは体調の回復を待って通常の食事に戻していきましょう.

<インフルエンザ予防に良いとされる食事>
大きく分けて,防御機能を高めるものと,免疫機能を高めるものがあります.

・防御機能を高める
ビタミンAは乾燥した粘膜を潤し,強化してくれます.緑黄色野菜に多く含まれます.
・・・にんじん,かぼちゃ,さつまいも,ほうれん草,卵など.

・免疫機能を高める
発酵食品は腸内を健康に保ち,免疫力を高めます.
・・・納豆,ヨーグルト

ビタミンCは微生物と闘う白血球を活性化し,あらゆる病気の原因になるといわれている活性酸素を分解してくれます.
・・・みかん,レモン,グレープフルーツなどの柑橘類,ピーマン,ブロッコリー,れんこんなど.

これら以外にも抗ウイルス作用の「アリシン」を含むニンニクやタマネギ,「セスキテルペン」を含むショウガ,「2–アミノ–3H–フェノキサジン–3–オン」などを含むマッシュルームがあります.

以上がインフルエンザにかかった際の食事と予防に有効な食事とされるものですが,普段食べているものも多いので、少し意識して日常の食材に加えて頂けると良いと思います.
最後に,ワクチンや食事も大切ですが,うがい・手洗いは予防に必須です.
なるべく病院のお世話にならないようにしましょう.

(今回は薬局 岡部幸男が担当しました)

NST便り11月号

すっかり寒くなり,インフルエンザの流行がささやかれている今日この頃,いかがお過ごしでしょうか?
この度は,9月に行われた「誤嚥性肺炎の予防とケア」という研修会の中で,大阪大学の野原幹司先生と,神戸大学の石川 朗先生のお話の中から学んだことをお話しいたします.

<誤嚥性肺炎とは…>
「誤嚥性肺炎」は,「誤嚥」を繰り返すことで起こる肺炎のことをいいます.「誤嚥」とは簡単に言うと唾液や食物が誤って気管に入り,むせることを言います.しかし,誤嚥が,必ず肺炎になるというわけではありません.
では,どうして肺炎になってしまうのでしょうか?2つの大きな要因が考えられ
ています.

1.体力・抵抗力・免疫力の低下,誤嚥したものを咳払いして喀出する力があるかどうか
→ 体力・抵抗力・免疫力が低下することは,肺炎だけでなく,様々な疾患や感染症にかかりやすくなります.
咳払いで,むせたものを喀出する力があることは大切で,喀出する力が弱いと,いつまでも気管や咽頭に異物が残り,窒息してしまう可能性もあります.

2.誤嚥したものの内容,量,性状はどうか
→ 誤嚥するものは,内容と量も重要ですが,“質”がどうかということが更に問題となります.それは,誤って気管に入ってしまった唾液や食物の汚染状況がどうかということです.
口腔内の汚染,歯周病の有無など,様々な細菌に汚染された誤嚥物が気管に入り込んで,肺炎を引き起こしてしまうことがとても重要です.

まとめると…
誤嚥は唾液や食物が誤って気管に入り,むせること.しかし,むせたからと言って必ず肺炎になるわけではなく,むせたものの内容,量に加え,むせたものの汚染状態(細菌の多寡),喀出する力があるかということが誤嚥性肺炎を引き起こす要因であるということです.

<誤嚥性肺炎の予防するためには…>
これからのインフルエンザ流行期には,肺炎・誤嚥性肺炎の発症も多くなってきます.
予防策としてうがい,手洗いをおこなうことはもちろんですが,誤嚥性肺炎は口腔内の清潔を保つことで,重症化を防ぎ,早期回復につながります.
この冬を,うがい・手洗い・口腔内の清潔を保つことで,元気に過ごせるように,ご自愛ください.


(今回はICU看護師 高橋 美和子が担当しました)

NST便り6月号

みなさん,こんにちは
今回は,いま話題の「水素水」についてお話ししたいと思います.

~水素とは?~
水素とは,原子の中では一番軽く,特に還元性が高く,他の物質と容易に結合反応をします.
私たちが呼吸をして,食事をして、エネルギーを燃焼させた時に「活性酸素」が体内で発生します.少量の「活性酸素」は,白血球がこの活性酸素を使用して,体内に侵入してきた細菌やウィルスを攻撃し,除去してくれます.
逆に増えすぎて体内に溜まってしまうと,体内のあちこちで暴れまくり,細胞を酸化させたり(サビ),細胞膜を破壊したり,DNAを傷つけ,様々な病気や老化,生活習慣病を含めた疾患の原因にもなっているのです.
「水素」が体内に入ると,増えすぎた活性酸素と結合して,体内の活性酸素を効果的に素早く消去してくれるらしいです.ですから,この元凶の活性酸素を消去することが出来れば,上記のような疾患を減らすことが出来るわけです.
そこで期待されているのが,「水素水」です.
水素に関する研究結果はさまざまですが,水素の働きで体内の細胞が活性化され,代謝機能が向上し,これが美容やダイエットにも効果があると期待されています.

~水素水の効果~
○健康
細胞膜を破壊し,DNAを傷つけ,様々な病気や老化,生活習慣病の原因とされている活性酸素.その活性酸素を排除する抗酸化物質として,「水素」ほど強力なものはないと言われています.
○美容
ストレスや不規則な生活,喫煙,暴飲暴食といった生活環境に加えて,加齢や紫外線もお肌に与える影響は大きいと言えます.その裏には,やはり活性酸素という存在があります.強力な抗酸化物質と言われる水素で,美容という分野でも期待できそうですね.
○ダイエット
水素水ダイエットという言葉があるように,この活性水素を含んだ水素水を摂取することで,内臓脂肪の燃焼や腸内環境にも変化が現れるようです.ダイエットという分野にも,活性水素の効果が期待されています.

但し,水素ガスは水1リットルに0.78mmolしか溶けないので,飲用での効果については,医学的根拠はまだありません.

(今回は6西病棟 看護師 本村美貴が担当しました)
参考・引用文献:http://suisosui-pw.biz/

NST便り7月号

【食事と尿酸】


『痛風』という言葉を一度は耳にしたことがあるでしょうか?今回はその原因物質である「尿酸」について,お話したいと思います.

そもそも尿酸とはどういうものでしょうか?
私たちの体を構成している細胞は新陳代謝を繰り返します.細胞は脂質,たんぱく質,核酸で構成されていますが,これらが代謝されると「プリン体」という化合物が生成されます.
「尿酸」はこのプリン体と呼ばれる物質から作られる一種の老廃物です.
「尿酸」は抗酸化剤としての利点ももっていますが,血液中の尿酸が多くなりすぎると,体の中で増えた尿酸は針状の結晶になりやすく,足や指,また関節付近に蓄積され,炎症を誘発して強い痛みを引き起こすため,『痛風』と言われるのです.
血中の『尿酸』の値が高い人は「痛風」だけでなく,「尿路結石」,「心筋梗塞」や「脳卒中」などの合併症を引き起こすリスクも高いことが分かっています.

「尿酸」の値は,日頃の食事に大きく影響されます.プリン体はほとんどの食品に含まれていますが,食品によってかなりの差があります.

まず良く耳にするのが「ビール」.「ビール」はお酒の中でプリン体を多く含んでいます.
次に「にぼし」.にぼしは一般的にカタクチイワシという魚ですが,このイワシが多くのプリン体を含んでいます.また白子やレバーなどの内臓にも多く含まれています.
さらに最近は体の健康を気遣い「サプリメント」を摂取する人も増えています.その中でも,脳に良いと言われる「DHA」,血液サラサラ成分と言われる「EPA」,野菜不足を補うと言われる「クロレラ」などには,プリン体が多く含まれています.

尿酸値の上昇は食事内容に加え,生活習慣が大いに関わります.まずはプリン体の多く含む食品を食べ過ぎない,そして生野菜を多く取り,体をアルカリ性に傾ける,また適度な運動を心がけることが必要です.
ビールを少し減らし,食事内容を見直してみませんか??


(今回は薬剤師 武田瑛司が担当しました)

NST便り2月号

<日本病態栄養学会参加の報告>

第19回日本病態栄養学会 年次学術集会が2016年1月9日,10日の両日,女子栄養大学 栄養学部 本田佳子教授を会長に,横浜市西区みなとみらい「パシフィコ横浜」で開催されました.

当院からはNST,脳神経外科の黒川泰任が参加しました.参加者数は4,914名と,大盛会でした.
演題内容は,栄養とNSTに関した多方面にわたるものでしたが,「糖尿病透析予防指導料」の影響もあって,糖尿病に関する演題が多い印象でした.

当院NSTからの演題として『「減塩」盲信への警告と「低ナトリウム血症」』を,脳神経外科 黒川泰任,岡部幸男らが口演しました.

来年は第20回として,関西電力病院 院長 清野 裕先生の基,京都国際会館で2017年1月13,14,15日に開催予定とのことです.

NST便り5月号

今回は口腔乾燥(お口の渇き)についてお話させていただきます.
みなさんは,お口の渇きが気になったことはありませんか?
お口の渇きの原因は様々です.

<お口の渇きの原因として考えられること>
(1)加齢による唾液分泌量の低下

(2)口の渇きを強くさせる病気
シェーグレン症候群
糖尿病
腎臓疾患 

(3)口腔外科治療後などの口腔疾患によるもの

(4)薬物療法,放射線療法の影響
向精神薬や降圧剤,利尿薬などの副作用
抗生物質の副作用
放射線治療により唾液腺への影響

(5)開口,口呼吸の習慣

(6)水分制限,絶飲食による水分摂取の減少
消化器内科・外科治療による絶飲食
腎不全、心不全のための飲水制限

(7)心因性
神経症や精神的興奮、ストレス

(8)室内の乾燥などの環境要因
これらの原因による口腔乾燥は,こまめに水分をとることで改善することもありますが,病気により水分制限をされている方にとっては、難しいと思います.むせたり,肺炎を繰り返したり,水分さえ口にできない方もいらっしゃいます.
口腔乾燥は,「話がしにくい」,「口が開きにくい」,「食べ物が飲み込みにくい」などの原因になります。また,口腔内の常在菌が,口腔乾燥により有害な作用を起こすこともあり,肺炎や歯周病などの原因になってしまうのです.
以前の「NST便り」でもお話させていただきましたが,最近は様々な口腔ケア用品が販売されています.当院や近所の薬局などで販売している洗口液や保湿剤です.アルコールの含まれていないものをうまく活用していくことで改善することもあります.是非、お試しください.

(今回はICU看護師 髙橋 美和子が担当しました)

NST便り1月号

≪グルテンアレルギー≫

パンやピザ,ビールを摂るとお腹がゆるくなる人がいます.
日本では主に米を食するので気がつかれないこともあって,あまりグルテンアレルギーは認識されていませんが,実際には麦を含む食品に対するこのアレルギーはまれではないのです.
小麦粉などはみるからに炭水化物のかたまりと思ってしまいますが,実はかなりの量のタンパク質を含んでいます.
 
小麦粉中の蛋白質含量は6~15%で,いろいろな特性を持つ蛋白質が混在しています.これらはその溶解性の差から,アルブミン,グロブリン,グリアジン,グルテニン,不溶性タンパク質に分類されています.実際の量では,約85%がグリアジン(分子量5万)とグルテニン(50万)で占められています.両者はほぼ同量です.
この2つのタンパク質はある条件で水を介して結合し,種々の粘度と弾性を示します.すなわち食品の粘性と弾性が増し,気泡ができて,食感がとてもよくなります.パンやピザの生地を思い出してみてください.小麦粉を水でこねて発酵させるのは同じですが,形成されるグルテンの分子形態が異なるため,形態も食感も異なります.
一方で,高分子のグルテンは抗原性も発揮し,人によっては下痢が止まりません.このため,パンやピザ,シリアルを嫌う人もいるのですが,このグルテンアレルギーに対する「グルテンフリー食品」は,日本でもかなりの種類のものが手にはいります.
 
また,グルテンが摂れない人でもビールを楽しみたいこともあります.欧米ではパブやスーパーで簡単に「グルテンフリー」とかかれたビールが楽しめます.日本では”残念ながら”と思っていましたが,じつは「グルテンフリー」とうたっていないだけで「グルテンフリー」は簡単に手に入るのです.原料に麦を使っていなければいいのです.そう,つまり第3のビールという「あれ」です.たとえば「のどごし<生>®」は「グルテンフリー」ビールとしてアレルギーの人も大いに楽しめます.もっとも”真のビールではない”と,味にこだわるひとには我慢できないでしょうけど・・・・・・・・・・・

(今回は脳神経外科 黒川泰任が担当しました)

NST便り9月号

食用油は主に動物油と植物油で,その種類は何十種類にも及びます.
私たちが日常,調理などに使う油はほとんど植物油です.主なものに大豆油,ピーナッツ油,グレープシールド,アボカドオイル,アマニ油,エゴマ油,米油,椿油,ひまわり油,コーン油,紅花油,採種油,ゴマ油,オリーブオイルなどがあります.
今回は最近話題になっている,健康に良い油をいくつか取り上げてお話しいたします.

<エゴマ油・アマニ油>
特徴としてはω(オメガ)-3脂肪酸のひとつであるα-リノレン酸が多く含まれています.α-リノレン酸は私たちの体内で作ることができませんが,体に必要な脂肪酸で,EPAとDHAなどに変化し,利用されます.
EPAはいわしなどの魚類に多く含まれており,花粉症の改善,アトピーの改善,血液をサラサラにするなどの効果があります.
DHAもいわしやサンマなどの魚類に多く含まれ,記憶力・学力の向上,視力向上,動脈硬化予防,高脂血症の予防,血栓症の改善,運動能力の改善に効果があるといわれています.
他にも中性脂肪,血中コレステロールの軽減,高血圧,糖尿病,動脈硬化,不整脈の予防などたくさんの効能があります.
エゴマ油・アマニ油は熱に弱いため,食べ物に直接かけて食べるのがいいそうです.一日の摂取量の目安は小さじ1杯の量で一日に必要な2gが摂れ,イワシなどの2尾分に値します.
酸化しやすいため保存は冷蔵庫内です.

<オリーブオイル>
オリーブオイルの中の脂肪酸の70~80%はオレイン酸です.
オレイン酸は余分なコレステロールを運び出す善玉コレステローは減らさず,動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールを減らす効果があり,心筋梗塞や脳梗塞などに予防に効果があるといわれています.
また,高温になっても酸化しにくく,揚げ物にも最適です.

<アーモンドオイル>
アーモンドオイルも悪玉コレステロールを下げる働きや,ビタミンEを多く含むため乾燥肌などに対しても効果があります.
酸化しにくく,熱に強いという特徴があり,加熱調理にも使えます.

食用油にも色々な種類があり,体に良い影響を与えるものを試してみてはいかがでしょうか?

(今回は6階西病棟 看護師 井林 富美子が担当しました)

NST便り3月号

医薬品の経腸栄養剤について

<栄養素についておさらい>
三大栄養素とは,炭水化物(糖質),脂質,タンパク質のことで,エネルギー量はそれぞれ4 kcal/g,9 kcal/g,4 kcal/gとなります.摂取するエネルギーのバランスは炭水化物(糖質) 55?60%,たんぱく質15?20%,脂質20?25%位が良いとされています.これにミネラル,ビタミンが加わると五大栄養素と呼ばれます.これらをバランスよく摂取することが病気の予防にもつながります.

<医薬品の経腸栄養剤>
医薬品の経腸栄養剤は,窒素源の違いにより(消化が必要か,必要ないか)『消化態栄養剤』,『半消化態栄養剤』に分けられます.消化態栄養剤のなかでも窒素源が合成アミノ酸から構成されているものは『成分栄養剤』と呼ばれます.当院では「アミノレバンEN潤・v,「エレンタール潤・v,「ラコール潤・v,「エンシュア・リキッド潤・vという医薬品が採用されています.

・消化態栄養剤:当院に採用はありませんが,「ツインライン潤・vが有名です.消化が必要ないのはもちろんですが,吸収されやすく低残渣が特徴です.

・成分栄養剤:当院では「エレンタール潤・vが該当します.糖質はデキストリン,窒素源はアミノ酸で構成されており,脂肪をほとんど含まず,ほとんど消化を必要としません.

・半消化態栄養剤:当院では「アミノレバンEN潤・v,「ラコール潤・v,「エンシュア・リキッド潤・vが該当します.アミノレバンEN潤・ヘ肝機能が低下している人のために分岐鎖アミノ酸が主成分となっています.また,これらは成分栄養剤と違って消化を必要とします.


最近,半消化態栄養剤の「エネーボ潤・vという医薬品が発売になりました.エネーボ潤・ノは従来の半消化栄養剤になかった食物繊維やフラクトオリゴ糖,クロム・モリブテン・セレンなどの微量元素,カルニチンが配合されており,下痢が少なく,免疫力の低下を防ぐといわれています.
経腸栄養剤には適切な栄養素が配合されており,香りや味も色々とありますので幅広く選択できるようになってきています.


(今回は薬剤師 後藤 圭介が担当しました)

NST便り8月号

咀嚼訓練のためのゼリー!! 「プロセスリード」のご紹介

 「プロセスリード」は2014年9月に,大塚製薬から発売された嚥下訓練のためのゼリーです.従来のゼリーと異なり,咀嚼するとペースト状になるような性質をもっています.つまり,口の中で食べ物の塊を作る練習ができる特別なゼリーです.
商品名の由来は,嚥下の仕組み「パルマーのプロセスモデル」という言葉からきているそうです.
今回は,この「プロセスモデル」についてご説明します.

嚥下という行為には2つのモデルが考えられています,具体的には,「のむ」と「食べる」ことの違いです.まず,「のむ」という行為は液体を飲みこむという事なのですが,食物(=液体)を口の中で取り込んで(口腔準備期),舌背が口蓋にそって後方へと移動します(口腔送り込み期).その後,嚥下反射が惹起され(咽頭期),食道入口部が開き,食塊が食道を通過します(食道期).これを4期連続モデルと言います.

従来,古典的には「嚥下」は液体をのむ時に分析された上記の4つの過程で行われていると考えられてきました.実際は液体を意識的に「のむ」過程によく当てはまり,嚥下という現象を考えるには分かりやすいものでした.
ところが,ヒトや動物が任意に固形物を飲み込んでいく過程ではこれとは異なる動作が連続して,また一部は重複して起こる事が報告され(1992,J.B. Palmar, Coordination of mastication & swallowing)、ただ「噛むこと」+「飲み込むこと」ではないと考えられる様になりました.これを「パルマーのプロセスモデル」と呼びます.


<パルマーのプロセスモデル>
まず固形物は舌により臼歯部に運ばれ,咀嚼により食べ物の塊と唾液が混ざり嚥下可能な大きさまで粉砕されます(processing).この際,舌は塊が臼歯部から落ちないよう前後方向の動きを軸に捻転します(stageⅠtransport).ふつうは咀嚼している間は口腔内に食べ物の塊があると思われるのですが,実は咀嚼中に,塊は少しずつ咽頭に流れ込んでいます.(stageⅡ transport) さらに咽頭に流れ込む際にも食べ物の塊が作られていきます.これは4期連続モデルとは異なり,咀嚼中に同時に口腔送り込み運動が開始され,嚥下反射惹起前に咽頭内で食べ物の塊がつくられていくということになります.このことを咀嚼嚥下といいます.
少し難かしい話ですが,咀嚼をして嚥下するということは,「丸呑み」とは違う動きをしているということです.

「プロセスリード」に話を戻します.
嚥下障害のある方にとっては,食事の形態がとても重要です.当院の食事形態では,まず嚥下訓練食(ゼリー)から開始し,「ミキサー食」⇒「きざみ・とろみ食」⇒「一口大食」⇒「軟菜食」⇒「常食」と難易度があがっていきます.「ミキサー食」は咀嚼せずに丸呑みできますが,「きざみ・とろみ食」になると咀嚼が少し必要になってきます.「きざみ・とろみ食」に食事形態を上げる前に咀嚼嚥下練習をするために作られたのが,「プロセスリード」なのです.

 先日勉強会で「プロセスリード」について学んできたばかりなので,簡単にご紹介させて頂きました.興味のある方は嚥下動作を実験してみて下さい.味は抹茶と海老と柚子の3種類があるらしいです.

(今回は言語聴覚士 河崎大法が担当しました)

NST便り12月号

<はちみつ中毒について>
みなさん,マッドハニー病という病気についてご存知でしょうか.海外産はちみつの摂取による中毒症状のことです.今回はこの件についてお話します.

☆マッドハニー病の症例
日本でも症例があり,「60歳代女性が東南アジアで購入したはちみつをお湯に溶かして飲んだところ,30分後に呼吸困難や視覚異常などの状態に陥り,数時間後には歩けなくなるなどの症状がでた.救急車で搬送されたが,致死的な症状はなく,嘔吐や下痢症状もなかった.」と報告されています.

☆毒性物質グラヤノトキシン
中毒症状の原因物質は『ツツジ科の植物に含まれる毒性物質グラヤノトキシン』を摂取したミツバチのはちみつによるとされています.グラヤノトキシンはジテルペン系の植物毒の一種で,ツツジ科の植物の主な生存地域は小アジア北部と言われています.
主な中毒症状として,めまい・過剰発汗・血圧低下・心拍の異常・嘔吐などが出現します.回復は早く,致命率は低いとされていますが,大量摂取の際は受診が必要となります.

≪中毒を引き起こす作用機序≫
①グラヤノトキシンが細胞上のナトリウムチャンネルに結合して,興奮と脱分極を継続させる.
     ↓
②筋小胞体から細胞内にカルシウムイオンが流出し,骨格筋や心筋の収縮が強まる.
     ↓
③不整脈などの期外収縮症状や迷走神経の刺激により麻痺症状なども現れる.

☆最後に...
日本産のはちみつに関しては問題ないとされており,はちみつ購入の際には原産地を確認することが重要です.主にトルコ周辺国原産のはちみつに注意する必要がありますが,念のため海外製のはちみつは控えた方が良いといわれているようです.

(今回は4階西病棟 看護師 大久保智子 が担当しました)