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NST委員会

NST便り4月号


 

『嚥下障害の基礎、食事介助方法』

<嚥下のメカニズム>
Ⅰ.先行期   :食物を形や匂いを認識する。
Ⅱ.口腔準備期 :口に取り込み、噛んでまとめる。
Ⅲ.口腔期   :食物を喉に送り込む。
Ⅳ.咽頭期   :食物が喉を通る
Ⅴ.食道期   :食物が食道を通る。
以上5段階から構成されています。

<嚥下障害と誤嚥>
食べ物を上手に飲み込めない状態のことをいい、主な原因として、形態的な異常(口蓋裂等の先天的な異常、歯の欠損や口腔、喉などの手術等の後天的な異常)や神経・筋系の異常(発達障害や脳血管障害、パーキンソン病などの神経変性疾患等)、他にも加齢に伴う機能低下、認知症等があります。
『誤嚥』というのはこれらの原因により、気管に異物が入ることをいいます。「むせが有る誤嚥」と「むせが無い誤嚥」の2パターンがあり、いずれも誤嚥性肺炎の要因となっています。

<嚥下の評価方法>
嚥下の評価は、①認知機能  ②身体機能  ③口腔器官機能  ④嚥下機能などで行います。
一般的な検査方法として、①反復唾液飲み検査  ②改定水飲み検査  ③食物テストがあり、より専門的な方法として嚥下造影検査と呼ばれるものもあります。

<食事形態について>
食事を摂取しやすくするために、嚥下学会では食事の形態を細かく分類(2013)しています。
当院では患者様の嚥下機能に応じて、主食は米飯~ゼリー粥、副食は常食~ミキサー食にとろみや練り梅などを付加して提供しています。

<水分のとろみについて>
嚥下機能が低下している場合は水分でむせる人が多いため、とろみをつけることで「むせ」を減らすことが出来ます。嚥下機能に応じて適切なとろみの濃度に違いがあり、「薄い」、「中間」、「濃い」という学会分類が存在します。

<食事介助方法>
安全に食事を摂取するための代表的な方法を以下に掲載します。

●食事前
①口腔ケア :誤嚥性肺炎の予防、口腔器官機能の維持、全身状態の維持。
②環境設定 :食事に集中できる環境設定をする。
③姿勢設定 :嚥下機能が低下している場合、ベッドの角度を30、45、60度と調整することで誤嚥のリスクを下げることが出来ます。

●食事中
①何を食べているのか知らせる :食物をしっかり認識させ、体に食べる準備をさせる。
②一口量を調整する      :多すぎると誤嚥のリスクが高まる。
③食べるペースを整える    :食事時間は早くても遅すぎても誤嚥リスクが高まる。
                 1食につき30分が目安。
④飲み込む前に話かけない

●食後
①内服  :錠剤は口の中に残りやすい。
       薬が飲みづらい場合は薬を粉砕することや、とろみ水やゼリーを使用して飲むと
よい。
②口腔ケア:食物が口の中に残留してしまっていることがある。
      そのまま放置すると誤嚥につながるため、食後にしっかり取り除く。
③胃食道逆流の防止:食後すぐに横になってしまうと胃から食物が上がってきやすい。
          食後1時間以上は座っていた方が良い。

<口腔、咽頭残留への対応>
 食事中に喉がゴロゴロなることがありますが、これは食物を完全に飲み込むことが出来ておら
ず、喉に残留している状態です。咳払いや、追加で唾を飲み込むなど喉をすっきりさせてから、
食事を再開する必要があります。

<食事中止のタイミング>
①たくさんむせる。
②飲み込む速度が遅くなる。
③SpO2が一気に3%以上低下し、呼吸状態が悪化する。
これだけではないが、大事なことは危ないと感じたら無理に食べさせないことです。

食事は人生の楽しみの1つですが、誤嚥や窒息などの危険を伴うものです。
これを機会に嚥下について関心を持って頂ければ幸いです。食事で気づいたことがあれば言語聴覚士までご相談下さい。



 

(今回は言語聴覚士 稲井宏則が担当しました)

NST便り2月号


 

【 NSTの流れ その2〜栄養の組み立て〜 】
2018年10月のNST便りで、NST活動における「栄養評価」について書きました。今回は、その続きとして「栄養の組み立て」についてお話ししようと思います。
「栄養評価」で入院された患者様の栄養状態がよいのか悪いのかが分かったら、次には栄養状態を改善するように「栄養の組み立て」を行います。

【 1日の必要栄養量の算定 】
健康な日本人が1日に摂るべき栄養量は、厚生労働省が「日本人の食事摂取基準(2015年版)」で発表しています。

このなかで、健康人における1日に必要なエネルギーの量(総エネルギー消費量)は、基礎代謝量(覚醒状態で必要な最小限のエネルギー)×身体活動レベル(活動係数:体を動かす激しさの程度)とされています。例えば、座り仕事の場合の身体活動レベルは1.75程度、立ち仕事の場合は2.0です。
しかし、入院中の患者様の場合はこれに加えて、「病気であることで消耗するエネルギー量」を考慮しなければなりません。
すなわち、1日に必要なエネルギーの量(総エネルギー消費量)は、基礎代謝量×身体活動レベル×ストレス係数(患者様がかかっている病気がどの程度エネルギーを消耗するものなのかを示す指数)で決定されます。たとえば、がんの患者様のストレス係数は1.1〜1.3、感染症の患者様だと1.2〜1.5といわれています。
このように、1日に必要なエネルギー量を計算するのですが、基礎代謝量を実際に計測するには大がかりな装置が必要となり、病院内でそれを測定することができないので、NST活動では年齢、性別、身長、体重などから必要エネルギー量を推定することが行われています。代表的な推定式は、1919年に発表されたHarris-Benedictの式などです。

【 必要エネルギー量の各栄養素への割り振り 】
1日に必要なエネルギー量(総エネルギー消費量)が決定したら、次にそれを各栄養素に割り振り、食事や栄養剤、点滴の内容を決めていきます。
各栄養素の割り振りは一般に以下の順番で行います。

1) たんぱく質:たんぱく質は筋肉や内臓など体の組織を構成する物質で、人体にはなくてはならないものです。健康な人の場合の1日に必要なたんぱく質の量は体重1kgあたり0.8〜1.0gといわれていますが、身体的ストレス(ストレス係数)が高いほど、より多くのたんぱく質が必要となると言われています。従って、患者様のかかっている病気にあわせてたんぱく質の量を決めていきます。
2) 脂質:脂質は健康人では摂りすぎると冠動脈疾患(心筋梗塞など)の危険が増しますが、脂質自体は、各栄養のなかで一番のエネルギー源であり、細胞膜の構成成分であるという重要な役割があります。脂質の目標摂取量は総エネルギー消費量の25%前後といわれています。
3) 炭水化物:炭水化物は最も重要なエネルギー源といわれ、とくに、脳、神経、赤血球、腎尿細管、精巣などはぶどう糖しかエネルギー源として使用できません。炭水化物はこれらの組織へのエネルギー供給源となります。炭水化物(糖質)の摂取量は総エネルギー消費量のおよそ50〜65%とされています。

また栄養素とは異なりますが、1日に摂取する水分量も決めていきます。
4) 水分量:およそ、現在の体重(kg)×25〜30mlといわれています。心臓病、腎臓病のある患者様はこれより少なくなる場合があります。



 

当院NSTでは、このように決定した栄養量を患者様が満たしていけるよう活動を行って参ります。

参考資料:認定NSTガイドブック2017 南江堂
厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2015年版)

(今回はIBDセンター医師 折居 史佳が担当しました)

NST便り1月号

〇 便秘と下痢と腸内フローラ
日常生活の中で、よく経験する便秘や下痢。今回は薬屋さんの広告でよく目にする「腸内フローラ」のことも交えてお話したいと思います。
<便秘>
 便秘の定義に明確なものはありませんが、急性のものと慢性のものがあります。大腸がんなどの何らかの疾患に伴う腸管狭窄によるものや、薬の副作用によるもの、甲状腺機能低下症や糖尿病によるものなどがありますが、一般によく経験するのが機能性の便秘といわれるものです。この機能性の便秘は食生活や運動、または排便習慣をつけるなど、日常生活で対応することができます。
<下痢>
こちらも慢性と急性のものがありますが、多く経験するのは急性の下痢で、下剤の飲み過ぎ、細菌が出す毒素によるもの、感染症、心因性・アルコールなどが原因になります。慢性の下痢では過敏性腸症候群などが挙げられますが、がんなどの器質的疾患も原因となることがあります。細菌などによる下痢は生体防御反応としての下痢なので、腸管内の毒素を自浄するためのものになり
ます。



<腸内フローラ>
人の消化管(胃から大腸まで)には体の細胞の数を超える細菌がいて、それらの細菌と私たちは共生しています。特に腸の中の細菌の集まりを「腸内フローラ」と呼んでいます。消化を助けてもらったり、免疫機能を獲得したり、自律神経や精神活動に影響を与えたり(脳-腸相関)とその働きは様々です。
 まだわからないことも多いですが、サプリメントで販売されている「プロバイオティクス(腸内フローラのバランスを改善することを目的とした生きた微生物)」や「プレバイティクス(特定の腸内細菌の腸内活動を促進する物質)」は腸内フローラの機能を修復し、健康の維持増進・回復の補助的役割を担うものとされています。「プロバイオティクス」に代表されるものは発酵乳、乳酸菌飲料。「プレバイオティクス」に代表されるものは難消化性オリゴ糖があります。この2つを人工的に組み合わせたものが「シンバイオティクス」として販売されています。
腸炎の治療には効果がないとする文献もありますので、今後の研究の成果を待ちたいところですが、便秘や下痢の予防も含めて、健康の維持増進に有用ではないかと思います。



(今回は薬局 岡部 幸男が担当しました)

NST(栄養サポートチーム)


NST便り10月号

【NST活動とは〜当院での活動】
NSTはNutrition Support Teamの略で、病院内で患者さんの栄養を全病院的にサポートするための組織です。構成メンバーは病院によって違いますが、医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師、言語聴覚士、理学療法士、看護師、事務職員、などからなります。
具体的な活動内容は、血液検査結果などから低栄養と思われる入院患者さんを抽出し(スクリーニング)、食事がとれない患者さんがどのようにしたら栄養がとれるようになるのか、食事のとれない原因を考察し、解決方法を探り、より栄養のとれる方法を主治医に提案する、というものです。
当院では、週1回の回診、月1回のNST通信の発行、3か月に1回程度の勉強会の開催、の活動をしています。



 

【NSTの流れ】
〇 入院
   ↓
〇 血清アルブミン値(2.5 mg/dl以下)による栄養不良患者の抽出
   ↓
〇 主治医によるNST依頼
   ↓
〇 病棟でSGAによる栄養評価(シートの作成)
   ↓
〇 ODAによる栄養評価・栄養必要量の算定
   ↓
〇 NST回診・カンファレンス
   ↓
〇 主治医への提言(ラウンドレポート)
   ↓
〇 必要量摂取のめどが立つまでのNSTによるフォローアップ



 まず、患者さんが入院をしたら入院時の血液検査結果(アルブミン値)から栄養不良の患者さんを抽出します。入院中に栄養状態が悪くなってきた患者さんも同様です。病棟のリンクナースは主治医に相談し、患者さんがNSTの対象になるかどうかを判断し、対象であれば主治医にNSTへの申し込みをしてもらいます。同時に、病棟の看護師により「SGA(後述)」で栄養評価を行います。NSTへの申し込みがなされた時点で、NSTは、患者様の情報の収集(病歴、病状、内服薬剤、点滴の内容など)を行い、「ODA(後述)」による栄養状態の把握、必要栄養量・水分量の算定を行います。当院では必要栄養量の算定はHarris-Benedictの式で必要栄養量の算定を行っています。
 週1回、木曜日の回診日にNSTメンバーでNST回診を行い、患者さんの全身状態を拝見、患者さんともお話しして、食事が食べられない原因なども出来るだけ聞き取りを行います。回診後、収集した情報と回診結果を総合し、NSTとして患者さんの栄養摂取について改善出来る点があれば提言を行います。また、必要栄養量が摂取できるような見込みがつくまでは週1回の回診でフォローアップを行います。

【低栄養の評価法】
 NST活動では、低栄養の評価法を大きくつぎの2つに分類します。
1) SGA (Subjective global assessment):主観的包括的栄養評価法
2) ODA (Objective data assessment):客観的データ栄養評価法

 1.SGA
 1982年にカナダのBakerらが提唱した栄養アセスメント法で、特定の測定器具を使わないのが特徴です。
 問診として、体重減少量、食事の摂取状況、消化器症状の有無などと、視診・触診により、皮下脂肪量、筋肉量、浮腫の有無などをチェックし、あくまで評価者の「主観」に基づいて栄養状態を評価するというものです。
 この評価法の長所は、費用と時間がかからないこと、簡便な割には、血液検査データなどの客観的評価法とよく相関すること、があげられます。

 2.ODA
 身体測定、血液検査結果などの客観的指標から栄養を評価する方法です。身体測定では、体重のほか、上腕三頭筋皮下脂肪厚、上腕周囲径といったNSTに独特な測定を行います。上腕三頭筋皮下脂肪厚は体脂肪の消耗の程度、上腕周囲径から計算した上腕筋周囲径は筋蛋白消耗の程度をみるものです。
 血液検査で栄養状態を評価する項目としては、白血球数(総リンパ球数)、ヘモグロビン値、血清アルブミン値、総コレステロール値のほか、Rapid turnover proteinなどがあげられます。Rapid turnover proteinは半減期の短い蛋白質であり短期の栄養評価に用いられます。当院ではトランスフェリン、プレアルブミン(トランスサイレチン)が検査可能です。

 当院NSTでは以上の活動を通じて今後も入院患者さんの栄養状態の改善に努めて参ります。



 

(今回はIBDセンター医師 折居史佳が担当しました)

NST便り9月号

< 『鶏肉』のお話 >

普段何気なく食べている鶏肉。牛肉や豚肉に比べてコレステロールや脂肪分が少ないため、近年、鶏肉の人気が上がってきています。むね肉、もも肉等ありますが、他にもいろいろな部位がありますので代表的な部分を紹介したいと思います。

・むね肉:脂肪が少なく、ヘルシーな部位。低カロリー、低脂肪であるためダイエットの食材として人気があります。
・ささみ:むね肉に近接した部位.脂肪が少なく、タンパク質の含有量が高く、低脂肪。
・もも肉:脂肪が多く、赤身でこくがある味。その理由は、鶏が脚を歩行や走行によく使うので、遅筋繊維が発達しているためです。
・手羽先:肉がほとんどなく、多くがゼラチン質と脂肪です。から揚げ、煮込み、出汁に使用することが多いです。人間の肘から指先までの部位に相当します。
・手羽中:肉とゼラチン質が多い部分。肉を骨から一部離して裏返したものを「チューリップ」と呼び、から揚げにされることで有名です。人間の肘と手首の間の部分に相当します。
・手羽元:別名「ウィングステック」。骨と肉と皮が程々にあるために正肉に近く、料理の具や、から揚げ・煮物にも適します。人間の肘と肩の間の部分に相当します。

その他、鶏肉の部位として認められてませんが、焼き鳥、焼肉店などで耳にする呼び名は以下のようになります。



 

 ・もつ、ホルモン…内臓系の総称 
 ・レバー…肝臓
 ・ハツ、ハート…心臓
 ・スナギモ…筋胃        
 ・皮、ひな皮…鶏皮
 ・ぼんじり,ぽんぽち…尾
 ・ヤゲン…ささみ肉の部位にある剣状突起の軟骨  
 ・ネック…首・頚部筋。セセリ、コニクとも呼ばれる
 ・もみじ…足先

鶏肉の魅力はレシピの豊富さ、良質なタンパク質、疲労回復、美肌効果などが期待できるそうです。たくさん料理して、美味しく食べましょう。

(今回は医事課 藤橋 良平が担当しました)

NST便り8月号

 先月の7月12日,毎年実施しているNST委員会・栄養管理委員会合同の『病院食の形態(一般食・特別食)と機能性付加食品』の勉強会を開催いたしました.参加して頂いた皆さま,お疲れ様でした.

 今回の勉強会の目的は,職員の皆様に「常食」・「EC食」・「PC食」などの食種,「一口大」・「きざみ」・「ミキサー」などの食形態,またエンジョイゼリーなどの付加食品,リーナレン,ラコールなどの経腸栄養剤を実際に試食して頂き,各食事内容について体験して頂くことです.

 勉強会後のアンケートでは,「試食会で実際に病院食を食べることで,栄養食事療法の必要性や内容を理解出来た」,「食事介助でミキサー食を見ることはあっても実際にどんな感じなのだろうと思っていた疑問が解決しました」,「病棟ごとで診療科が異なるので,今まで見たことのない食事内容があることを知った」など,様々なご意見を頂くことができました.

NST委員会では今後も様々な勉強会を予定しております.ご興味のある方はぜひご参加ください.                    



 


(今回は管理栄養士 北村雄治が担当しました)

NST便り4月号


 

4月に入り,新しい年度が始まりました.当院NSTも担当医師,看護師が入れ替わり,新しい体制でスタートいたします.今年度もよろしくお願いします.
今年度最初のNST便りは「アミノ酸スコア」について少しお話をしたいと思います.


<「アミノ酸スコア」って?>

食品のタンパク質の評価を数値化した基準は,古くは「プロテインスコア」(1957年:FAO)と呼ばれていましたが,人のアミノ酸必要量に基づいた現在の「アミノ酸スコア」という呼称は1973年にFAO/WHOが提示したものです.

人のタンパク質(筋肉,肌,髪の毛など)は,DNAの遺伝情報に基づいて20種類のアミノ酸から合成されますが,そのうちどれか一つでも欠けているとタンパク質を正しく作ることができません.(「アミノ酸の桶の理論」といわれています)
しかも,20種類のアミノ酸全てが人の体内で作れるわけではなく,食品から摂取しなければならない「必須アミノ酸」と呼ばれるものが9種類存在します.
「必須アミノ酸」をどれだけ含んでいるか,すなわち人にとってどれだけ良質なタンパク質であるかという目安を数値化したものが「アミノ酸スコア」と呼ばれているものです.アミノ酸スコアが100点の食品が最もバランスの良いタンパク質を含むということになりますが,食品で例を挙げますと・・・

・ 牛肉,豚肉,鶏肉,卵,牛乳—100
・ あじ,鮭,カツオ—100
・ 米—65
・ 食パン—44

となります.ひとつの食材で賄おうとすると1日当たり牛肉で約500g,牛乳で約1.8 ℓ,豆腐で3~4丁になりますので,毎日の食事としてはあまり現実的ではありません.

良質なタンパク質の摂取不足が続くと様々な不調をきたしてきます.筋力の低下が起こると体の基礎代謝量が減少するため,太りやすく痩せにくい体質になります.肌や髪の毛のハリやツヤを維持するコラーゲンなどはたんぱく質から構成されているので,肌に弾力がなくなったり,髪にコシが無くなったります.体内の神経伝達物質はアミノ酸からできているものもあるので,集中力や思考力が低下することがあります.

タンパク質は基本,毎日の食事から十分摂取できます.なるべくなら,ダイエットや忙しさで食事を抜いたり,適当に済ませたりしないよう気をつけていただきたいと思います.  


(今回は薬剤師 岡部 幸男が担当しました)

NST便り3月号


 

<疲れた時に甘いものを食べたくなる理由>

残業が続いたとき,座る暇もなく仕事をしたときなど,疲労を感じた際に甘いものを食べたくなったことはありませんか?

身体の疲れを感じると,脳はエネルギーを欲しがります.脳はブドウ糖しかエネルギー源にできないため,摂取した糖分は,体内で素早くブドウ糖に変換され,エネルギーとして供給されるわけです.

 しかし,甘い物を摂取することで得られる疲労回復は一時的ものといわれています.精神的な疲労回復にはなっているかもしれませんが,身体的には逆効果になっている場合があるそうです.
 その理由は,空腹時に糖分の高い食品を摂取することで,血糖値が急上昇します.すると身体は血糖値を下げるためにインスリンを分泌するように働きます.血糖値を下げた結果として,逆に疲れを感じ,眠気が出てしまう可能性があります.

 糖分摂取による疲労回復のポイントは,血糖値を緩やかに上昇させることです.血糖値を緩やかに上昇させてくれる食品というのが,GI値の低い食品です.

 GI値(グリセミック・インデックス)とは,食品の炭水化物が消化され,糖に変わるまでのスピードを示した数値で,ブドウ糖を100として計算されています.70以上を高GI,56~69を中GI,55以下の食品を低GIとしています.そこで,GI値の低い,疲れた時に食べたらよいとされている食品を紹介します.



 


ナッツ類,フルーツ,チーズはGI値の低い食品です(おおよそ20~30前後).意外にプリンやシュークリームもGI値が低い食品として近年話題になっています.(ちなみにチョコレートは91,飴玉は103)
ここで間違ってはいけないのは,GI値が低いということと,低糖質は同じではないということです.
 疲れたなと感じた時に,摂取してみてはいかがでしょうか.疲労を溜めず,フレッシュに仕事を続けていきたいですね.  

(今回は7階西病棟看護師 三浦まどかが担当しました)



 

主なリハビリ内容としては,関節可動域訓練,ポジショニング,ストレッチ,物理療法,呼吸訓練,座位訓練,ADL訓練などがあり,あまり負荷をかけずに20分を目安に施行するのが良いとされています.

「最近痩せてきた」,「普段の生活が出来ないほど体力がない」などの症状がある方はサルコペニアかもしれません.心当たりのある方はNSTスタッフやリハビリスタッフに相談してみて下さい.
 (今回は言語聴覚士 稲井宏則が担当しました)

NST便り8月号


 

みなさん,こんにちは.
今回はダイエットに効果があるといわれているココナッツオイルが,認知症の予防にも効果があるのではないかといわれていることについてお話しします.

<ココナッツオイルの効果・効能>
ココナッツオイルに含まれる油脂は「中鎖脂肪酸」と呼ばれます.「中鎖脂肪酸」は,腸管から吸収された後,すぐに肝臓で処理され,脳や体がエネルギーとして利用できる「ケトン体」に変換されます.「ケトン体」はブドウ糖と同様に脳まで届き,エネルギーとして使われうる物質です.「ケトン体」は身体内でも消費され,体内にとどまらないことが特徴です.

このケトン体を利用した「ケトン体ダイエット」は,低炭水化物(低糖質)食を一定期間以上続けると,肝臓が「体内にすでにある脂肪」を分解して、ケトン体を作ってエネルギーとして使い始め,減量につながるという考えによるものです.このためケトン体に変換されるココナツオイルはダイエットに効果があると言われています.

では本題であるココナッツオイルによる認知症予防について説明したいと思います.
認知機能が低下している脳では,通常の脳で使われている「ブドウ糖」がエネルギーとしてうまく使えなくなっています.ただし,「ケトン体」はエネルギーとして使うことができるので,脳のエネルギー不足は改善され,神経細胞の死滅がそれほど進んでいなければ,認知機能も改善できるということのようです.今のところ統計的な評価は得られていませんが,効果があった例も実在するようです.

認知症以外にも,自閉症などのさまざまな脳や神経の疾患について、ココナッツオイルのような「中鎖脂肪酸」を摂取する,「ケトン体食」を実践する試みあり,効果がある方もおられるようです.

今回は簡単にダイエット・認知症の予防について説明しましたが,ココナッツオイルは他にも便秘解消・日焼け防止・乾燥予防など様々な効果があるといわれています.

注意しなければいけないこともいくつかあります.
・ココナツオイルは糖質と一緒に摂取すると「ケトン体」が作られにくくなります.
・「ケトン体」を作るためには大さじ2杯を一度に摂る必要があります。
・脂質なので,ココナツオイルを摂取する分,他の食品でのカロリー制限が必要.
味やにおいが独特で苦手な方もいると思いますが、さまざまなレシピが出ていたりするのでぜひ試してみてください。

今回は6階西病棟看護師 本村美貴が担当しました)
NST(栄養サポートチーム) : 岡部 幸男(薬局)


水分のとろみは,嚥下障害の患者にとって,誤嚥を防ぐ基本かつ重要な対処法です。このNST便りを読んで、普段とろみをつける際に参考にしてもらえたら嬉しいです.
何かわからないことがあれば,いつでも言語聴覚士にご連絡下さい.

(今回は言語聴覚士 河崎大法が担当しました)

NST便り11月号

すっかり寒くなり,インフルエンザの流行がささやかれている今日この頃,いかがお過ごしでしょうか?
この度は,9月に行われた「誤嚥性肺炎の予防とケア」という研修会の中で,大阪大学の野原幹司先生と,神戸大学の石川 朗先生のお話の中から学んだことをお話しいたします.

<誤嚥性肺炎とは…>
「誤嚥性肺炎」は,「誤嚥」を繰り返すことで起こる肺炎のことをいいます.「誤嚥」とは簡単に言うと唾液や食物が誤って気管に入り,むせることを言います.しかし,誤嚥が,必ず肺炎になるというわけではありません.
では,どうして肺炎になってしまうのでしょうか?2つの大きな要因が考えられ
ています.

1.体力・抵抗力・免疫力の低下,誤嚥したものを咳払いして喀出する力があるかどうか
→ 体力・抵抗力・免疫力が低下することは,肺炎だけでなく,様々な疾患や感染症にかかりやすくなります.
咳払いで,むせたものを喀出する力があることは大切で,喀出する力が弱いと,いつまでも気管や咽頭に異物が残り,窒息してしまう可能性もあります.

2.誤嚥したものの内容,量,性状はどうか
→ 誤嚥するものは,内容と量も重要ですが,“質”がどうかということが更に問題となります.それは,誤って気管に入ってしまった唾液や食物の汚染状況がどうかということです.
口腔内の汚染,歯周病の有無など,様々な細菌に汚染された誤嚥物が気管に入り込んで,肺炎を引き起こしてしまうことがとても重要です.

まとめると…
誤嚥は唾液や食物が誤って気管に入り,むせること.しかし,むせたからと言って必ず肺炎になるわけではなく,むせたものの内容,量に加え,むせたものの汚染状態(細菌の多寡),喀出する力があるかということが誤嚥性肺炎を引き起こす要因であるということです.

<誤嚥性肺炎の予防するためには…>
これからのインフルエンザ流行期には,肺炎・誤嚥性肺炎の発症も多くなってきます.
予防策としてうがい,手洗いをおこなうことはもちろんですが,誤嚥性肺炎は口腔内の清潔を保つことで,重症化を防ぎ,早期回復につながります.
この冬を,うがい・手洗い・口腔内の清潔を保つことで,元気に過ごせるように,ご自愛ください.


(今回はICU看護師 高橋 美和子が担当しました)

NST便り12月号

《インフルエンザと食事》

12月になって寒さも一段と厳しくなり,インフルエンザ流行の時期を迎えました.
インフルエンザはインフルエンザウイルスによる感染症です.インフルエンザに限らず,私たちの体は,細菌やウイルスに感染すると,体温が上昇したり,心拍数や呼吸数が増えたり,血液中の白血球が増えたりといろいろな変化が生じます.これらは,細菌やウイルスなどの微生物の侵入を撃退するための反応でもあるのですが,この反応が過剰になると組織や免疫系を障害することもあります.インフルエンザウイルス自体に対する治療も重要ですが,今回はこのような体の反応を助けてくれる食事のお話をしたいと思います.

<インフルエンザにかかった際の食事>
自宅療養でよく云われることは,まず,「水分をこまめにとる」ことです.その際,カフェインを含む飲料は控えましょう.カフェインはその代謝に水分を消費し,利尿効果があるため,逆に摂取した水分を失わせてしまいます.
食欲がない時は無理に食事をせず,食べられるのであれば,消化の良いものがおすすめです.
例えば、ヨーグルトは熱で死んでしまった腸の中の善玉菌を作ってくれます.うどんやおかゆは消化に良い食べ物で有名ですが,実は炭水化物だけではなく,それなりの蛋白質も含んでおり,それなりの効果があるようです.
あとは体調の回復を待って通常の食事に戻していきましょう.

<インフルエンザ予防に良いとされる食事>
大きく分けて,防御機能を高めるものと,免疫機能を高めるものがあります.

・防御機能を高める
ビタミンAは乾燥した粘膜を潤し,強化してくれます.緑黄色野菜に多く含まれます.
・・・にんじん,かぼちゃ,さつまいも,ほうれん草,卵など.

・免疫機能を高める
発酵食品は腸内を健康に保ち,免疫力を高めます.
・・・納豆,ヨーグルト

ビタミンCは微生物と闘う白血球を活性化し,あらゆる病気の原因になるといわれている活性酸素を分解してくれます.
・・・みかん,レモン,グレープフルーツなどの柑橘類,ピーマン,ブロッコリー,れんこんなど.

これら以外にも抗ウイルス作用の「アリシン」を含むニンニクやタマネギ,「セスキテルペン」を含むショウガ,「2–アミノ–3H–フェノキサジン–3–オン」などを含むマッシュルームがあります.

以上がインフルエンザにかかった際の食事と予防に有効な食事とされるものですが,普段食べているものも多いので、少し意識して日常の食材に加えて頂けると良いと思います.
最後に,ワクチンや食事も大切ですが,うがい・手洗いは予防に必須です.
なるべく病院のお世話にならないようにしましょう.

(今回は薬局 岡部幸男が担当しました)

NST便り7月号

【食事と尿酸】


『痛風』という言葉を一度は耳にしたことがあるでしょうか?今回はその原因物質である「尿酸」について,お話したいと思います.

そもそも尿酸とはどういうものでしょうか?
私たちの体を構成している細胞は新陳代謝を繰り返します.細胞は脂質,たんぱく質,核酸で構成されていますが,これらが代謝されると「プリン体」という化合物が生成されます.
「尿酸」はこのプリン体と呼ばれる物質から作られる一種の老廃物です.
「尿酸」は抗酸化剤としての利点ももっていますが,血液中の尿酸が多くなりすぎると,体の中で増えた尿酸は針状の結晶になりやすく,足や指,また関節付近に蓄積され,炎症を誘発して強い痛みを引き起こすため,『痛風』と言われるのです.
血中の『尿酸』の値が高い人は「痛風」だけでなく,「尿路結石」,「心筋梗塞」や「脳卒中」などの合併症を引き起こすリスクも高いことが分かっています.

「尿酸」の値は,日頃の食事に大きく影響されます.プリン体はほとんどの食品に含まれていますが,食品によってかなりの差があります.

まず良く耳にするのが「ビール」.「ビール」はお酒の中でプリン体を多く含んでいます.
次に「にぼし」.にぼしは一般的にカタクチイワシという魚ですが,このイワシが多くのプリン体を含んでいます.また白子やレバーなどの内臓にも多く含まれています.
さらに最近は体の健康を気遣い「サプリメント」を摂取する人も増えています.その中でも,脳に良いと言われる「DHA」,血液サラサラ成分と言われる「EPA」,野菜不足を補うと言われる「クロレラ」などには,プリン体が多く含まれています.

尿酸値の上昇は食事内容に加え,生活習慣が大いに関わります.まずはプリン体の多く含む食品を食べ過ぎない,そして生野菜を多く取り,体をアルカリ性に傾ける,また適度な運動を心がけることが必要です.
ビールを少し減らし,食事内容を見直してみませんか??


(今回は薬剤師 武田瑛司が担当しました)

NST便り6月号

みなさん,こんにちは
今回は,いま話題の「水素水」についてお話ししたいと思います.

~水素とは?~
水素とは,原子の中では一番軽く,特に還元性が高く,他の物質と容易に結合反応をします.
私たちが呼吸をして,食事をして、エネルギーを燃焼させた時に「活性酸素」が体内で発生します.少量の「活性酸素」は,白血球がこの活性酸素を使用して,体内に侵入してきた細菌やウィルスを攻撃し,除去してくれます.
逆に増えすぎて体内に溜まってしまうと,体内のあちこちで暴れまくり,細胞を酸化させたり(サビ),細胞膜を破壊したり,DNAを傷つけ,様々な病気や老化,生活習慣病を含めた疾患の原因にもなっているのです.
「水素」が体内に入ると,増えすぎた活性酸素と結合して,体内の活性酸素を効果的に素早く消去してくれるらしいです.ですから,この元凶の活性酸素を消去することが出来れば,上記のような疾患を減らすことが出来るわけです.
そこで期待されているのが,「水素水」です.
水素に関する研究結果はさまざまですが,水素の働きで体内の細胞が活性化され,代謝機能が向上し,これが美容やダイエットにも効果があると期待されています.

~水素水の効果~
○健康
細胞膜を破壊し,DNAを傷つけ,様々な病気や老化,生活習慣病の原因とされている活性酸素.その活性酸素を排除する抗酸化物質として,「水素」ほど強力なものはないと言われています.
○美容
ストレスや不規則な生活,喫煙,暴飲暴食といった生活環境に加えて,加齢や紫外線もお肌に与える影響は大きいと言えます.その裏には,やはり活性酸素という存在があります.強力な抗酸化物質と言われる水素で,美容という分野でも期待できそうですね.
○ダイエット
水素水ダイエットという言葉があるように,この活性水素を含んだ水素水を摂取することで,内臓脂肪の燃焼や腸内環境にも変化が現れるようです.ダイエットという分野にも,活性水素の効果が期待されています.

但し,水素ガスは水1リットルに0.78mmolしか溶けないので,飲用での効果については,医学的根拠はまだありません.

(今回は6西病棟 看護師 本村美貴が担当しました)
参考・引用文献:http://suisosui-pw.biz/

NST便り2月号

<日本病態栄養学会参加の報告>

第19回日本病態栄養学会 年次学術集会が2016年1月9日,10日の両日,女子栄養大学 栄養学部 本田佳子教授を会長に,横浜市西区みなとみらい「パシフィコ横浜」で開催されました.

当院からはNST,脳神経外科の黒川泰任が参加しました.参加者数は4,914名と,大盛会でした.
演題内容は,栄養とNSTに関した多方面にわたるものでしたが,「糖尿病透析予防指導料」の影響もあって,糖尿病に関する演題が多い印象でした.

当院NSTからの演題として『「減塩」盲信への警告と「低ナトリウム血症」』を,脳神経外科 黒川泰任,岡部幸男らが口演しました.

来年は第20回として,関西電力病院 院長 清野 裕先生の基,京都国際会館で2017年1月13,14,15日に開催予定とのことです.

NST便り5月号

今回は口腔乾燥(お口の渇き)についてお話させていただきます.
みなさんは,お口の渇きが気になったことはありませんか?
お口の渇きの原因は様々です.

<お口の渇きの原因として考えられること>
(1)加齢による唾液分泌量の低下

(2)口の渇きを強くさせる病気
シェーグレン症候群
糖尿病
腎臓疾患 

(3)口腔外科治療後などの口腔疾患によるもの

(4)薬物療法,放射線療法の影響
向精神薬や降圧剤,利尿薬などの副作用
抗生物質の副作用
放射線治療により唾液腺への影響

(5)開口,口呼吸の習慣

(6)水分制限,絶飲食による水分摂取の減少
消化器内科・外科治療による絶飲食
腎不全、心不全のための飲水制限

(7)心因性
神経症や精神的興奮、ストレス

(8)室内の乾燥などの環境要因
これらの原因による口腔乾燥は,こまめに水分をとることで改善することもありますが,病気により水分制限をされている方にとっては、難しいと思います.むせたり,肺炎を繰り返したり,水分さえ口にできない方もいらっしゃいます.
口腔乾燥は,「話がしにくい」,「口が開きにくい」,「食べ物が飲み込みにくい」などの原因になります。また,口腔内の常在菌が,口腔乾燥により有害な作用を起こすこともあり,肺炎や歯周病などの原因になってしまうのです.
以前の「NST便り」でもお話させていただきましたが,最近は様々な口腔ケア用品が販売されています.当院や近所の薬局などで販売している洗口液や保湿剤です.アルコールの含まれていないものをうまく活用していくことで改善することもあります.是非、お試しください.

(今回はICU看護師 髙橋 美和子が担当しました)

NST便り1月号

≪グルテンアレルギー≫

パンやピザ,ビールを摂るとお腹がゆるくなる人がいます.
日本では主に米を食するので気がつかれないこともあって,あまりグルテンアレルギーは認識されていませんが,実際には麦を含む食品に対するこのアレルギーはまれではないのです.
小麦粉などはみるからに炭水化物のかたまりと思ってしまいますが,実はかなりの量のタンパク質を含んでいます.
 
小麦粉中の蛋白質含量は6~15%で,いろいろな特性を持つ蛋白質が混在しています.これらはその溶解性の差から,アルブミン,グロブリン,グリアジン,グルテニン,不溶性タンパク質に分類されています.実際の量では,約85%がグリアジン(分子量5万)とグルテニン(50万)で占められています.両者はほぼ同量です.
この2つのタンパク質はある条件で水を介して結合し,種々の粘度と弾性を示します.すなわち食品の粘性と弾性が増し,気泡ができて,食感がとてもよくなります.パンやピザの生地を思い出してみてください.小麦粉を水でこねて発酵させるのは同じですが,形成されるグルテンの分子形態が異なるため,形態も食感も異なります.
一方で,高分子のグルテンは抗原性も発揮し,人によっては下痢が止まりません.このため,パンやピザ,シリアルを嫌う人もいるのですが,このグルテンアレルギーに対する「グルテンフリー食品」は,日本でもかなりの種類のものが手にはいります.
 
また,グルテンが摂れない人でもビールを楽しみたいこともあります.欧米ではパブやスーパーで簡単に「グルテンフリー」とかかれたビールが楽しめます.日本では”残念ながら”と思っていましたが,じつは「グルテンフリー」とうたっていないだけで「グルテンフリー」は簡単に手に入るのです.原料に麦を使っていなければいいのです.そう,つまり第3のビールという「あれ」です.たとえば「のどごし<生>®」は「グルテンフリー」ビールとしてアレルギーの人も大いに楽しめます.もっとも”真のビールではない”と,味にこだわるひとには我慢できないでしょうけど・・・・・・・・・・・

(今回は脳神経外科 黒川泰任が担当しました)

NST便り9月号

食用油は主に動物油と植物油で,その種類は何十種類にも及びます.
私たちが日常,調理などに使う油はほとんど植物油です.主なものに大豆油,ピーナッツ油,グレープシールド,アボカドオイル,アマニ油,エゴマ油,米油,椿油,ひまわり油,コーン油,紅花油,採種油,ゴマ油,オリーブオイルなどがあります.
今回は最近話題になっている,健康に良い油をいくつか取り上げてお話しいたします.

<エゴマ油・アマニ油>
特徴としてはω(オメガ)-3脂肪酸のひとつであるα-リノレン酸が多く含まれています.α-リノレン酸は私たちの体内で作ることができませんが,体に必要な脂肪酸で,EPAとDHAなどに変化し,利用されます.
EPAはいわしなどの魚類に多く含まれており,花粉症の改善,アトピーの改善,血液をサラサラにするなどの効果があります.
DHAもいわしやサンマなどの魚類に多く含まれ,記憶力・学力の向上,視力向上,動脈硬化予防,高脂血症の予防,血栓症の改善,運動能力の改善に効果があるといわれています.
他にも中性脂肪,血中コレステロールの軽減,高血圧,糖尿病,動脈硬化,不整脈の予防などたくさんの効能があります.
エゴマ油・アマニ油は熱に弱いため,食べ物に直接かけて食べるのがいいそうです.一日の摂取量の目安は小さじ1杯の量で一日に必要な2gが摂れ,イワシなどの2尾分に値します.
酸化しやすいため保存は冷蔵庫内です.

<オリーブオイル>
オリーブオイルの中の脂肪酸の70~80%はオレイン酸です.
オレイン酸は余分なコレステロールを運び出す善玉コレステローは減らさず,動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールを減らす効果があり,心筋梗塞や脳梗塞などに予防に効果があるといわれています.
また,高温になっても酸化しにくく,揚げ物にも最適です.

<アーモンドオイル>
アーモンドオイルも悪玉コレステロールを下げる働きや,ビタミンEを多く含むため乾燥肌などに対しても効果があります.
酸化しにくく,熱に強いという特徴があり,加熱調理にも使えます.

食用油にも色々な種類があり,体に良い影響を与えるものを試してみてはいかがでしょうか?

(今回は6階西病棟 看護師 井林 富美子が担当しました)

NST便り3月号

医薬品の経腸栄養剤について

<栄養素についておさらい>
三大栄養素とは,炭水化物(糖質),脂質,タンパク質のことで,エネルギー量はそれぞれ4 kcal/g,9 kcal/g,4 kcal/gとなります.摂取するエネルギーのバランスは炭水化物(糖質) 55?60%,たんぱく質15?20%,脂質20?25%位が良いとされています.これにミネラル,ビタミンが加わると五大栄養素と呼ばれます.これらをバランスよく摂取することが病気の予防にもつながります.

<医薬品の経腸栄養剤>
医薬品の経腸栄養剤は,窒素源の違いにより(消化が必要か,必要ないか)『消化態栄養剤』,『半消化態栄養剤』に分けられます.消化態栄養剤のなかでも窒素源が合成アミノ酸から構成されているものは『成分栄養剤』と呼ばれます.当院では「アミノレバンEN潤・v,「エレンタール潤・v,「ラコール潤・v,「エンシュア・リキッド潤・vという医薬品が採用されています.

・消化態栄養剤:当院に採用はありませんが,「ツインライン潤・vが有名です.消化が必要ないのはもちろんですが,吸収されやすく低残渣が特徴です.

・成分栄養剤:当院では「エレンタール潤・vが該当します.糖質はデキストリン,窒素源はアミノ酸で構成されており,脂肪をほとんど含まず,ほとんど消化を必要としません.

・半消化態栄養剤:当院では「アミノレバンEN潤・v,「ラコール潤・v,「エンシュア・リキッド潤・vが該当します.アミノレバンEN潤・ヘ肝機能が低下している人のために分岐鎖アミノ酸が主成分となっています.また,これらは成分栄養剤と違って消化を必要とします.


最近,半消化態栄養剤の「エネーボ潤・vという医薬品が発売になりました.エネーボ潤・ノは従来の半消化栄養剤になかった食物繊維やフラクトオリゴ糖,クロム・モリブテン・セレンなどの微量元素,カルニチンが配合されており,下痢が少なく,免疫力の低下を防ぐといわれています.
経腸栄養剤には適切な栄養素が配合されており,香りや味も色々とありますので幅広く選択できるようになってきています.


(今回は薬剤師 後藤 圭介が担当しました)

NST便り8月号

咀嚼訓練のためのゼリー!! 「プロセスリード」のご紹介

 「プロセスリード」は2014年9月に,大塚製薬から発売された嚥下訓練のためのゼリーです.従来のゼリーと異なり,咀嚼するとペースト状になるような性質をもっています.つまり,口の中で食べ物の塊を作る練習ができる特別なゼリーです.
商品名の由来は,嚥下の仕組み「パルマーのプロセスモデル」という言葉からきているそうです.
今回は,この「プロセスモデル」についてご説明します.

嚥下という行為には2つのモデルが考えられています,具体的には,「のむ」と「食べる」ことの違いです.まず,「のむ」という行為は液体を飲みこむという事なのですが,食物(=液体)を口の中で取り込んで(口腔準備期),舌背が口蓋にそって後方へと移動します(口腔送り込み期).その後,嚥下反射が惹起され(咽頭期),食道入口部が開き,食塊が食道を通過します(食道期).これを4期連続モデルと言います.

従来,古典的には「嚥下」は液体をのむ時に分析された上記の4つの過程で行われていると考えられてきました.実際は液体を意識的に「のむ」過程によく当てはまり,嚥下という現象を考えるには分かりやすいものでした.
ところが,ヒトや動物が任意に固形物を飲み込んでいく過程ではこれとは異なる動作が連続して,また一部は重複して起こる事が報告され(1992,J.B. Palmar, Coordination of mastication & swallowing)、ただ「噛むこと」+「飲み込むこと」ではないと考えられる様になりました.これを「パルマーのプロセスモデル」と呼びます.


<パルマーのプロセスモデル>
まず固形物は舌により臼歯部に運ばれ,咀嚼により食べ物の塊と唾液が混ざり嚥下可能な大きさまで粉砕されます(processing).この際,舌は塊が臼歯部から落ちないよう前後方向の動きを軸に捻転します(stageⅠtransport).ふつうは咀嚼している間は口腔内に食べ物の塊があると思われるのですが,実は咀嚼中に,塊は少しずつ咽頭に流れ込んでいます.(stageⅡ transport) さらに咽頭に流れ込む際にも食べ物の塊が作られていきます.これは4期連続モデルとは異なり,咀嚼中に同時に口腔送り込み運動が開始され,嚥下反射惹起前に咽頭内で食べ物の塊がつくられていくということになります.このことを咀嚼嚥下といいます.
少し難かしい話ですが,咀嚼をして嚥下するということは,「丸呑み」とは違う動きをしているということです.

「プロセスリード」に話を戻します.
嚥下障害のある方にとっては,食事の形態がとても重要です.当院の食事形態では,まず嚥下訓練食(ゼリー)から開始し,「ミキサー食」⇒「きざみ・とろみ食」⇒「一口大食」⇒「軟菜食」⇒「常食」と難易度があがっていきます.「ミキサー食」は咀嚼せずに丸呑みできますが,「きざみ・とろみ食」になると咀嚼が少し必要になってきます.「きざみ・とろみ食」に食事形態を上げる前に咀嚼嚥下練習をするために作られたのが,「プロセスリード」なのです.

 先日勉強会で「プロセスリード」について学んできたばかりなので,簡単にご紹介させて頂きました.興味のある方は嚥下動作を実験してみて下さい.味は抹茶と海老と柚子の3種類があるらしいです.

(今回は言語聴覚士 河崎大法が担当しました)

NST便り12月号

<はちみつ中毒について>
みなさん,マッドハニー病という病気についてご存知でしょうか.海外産はちみつの摂取による中毒症状のことです.今回はこの件についてお話します.

☆マッドハニー病の症例
日本でも症例があり,「60歳代女性が東南アジアで購入したはちみつをお湯に溶かして飲んだところ,30分後に呼吸困難や視覚異常などの状態に陥り,数時間後には歩けなくなるなどの症状がでた.救急車で搬送されたが,致死的な症状はなく,嘔吐や下痢症状もなかった.」と報告されています.

☆毒性物質グラヤノトキシン
中毒症状の原因物質は『ツツジ科の植物に含まれる毒性物質グラヤノトキシン』を摂取したミツバチのはちみつによるとされています.グラヤノトキシンはジテルペン系の植物毒の一種で,ツツジ科の植物の主な生存地域は小アジア北部と言われています.
主な中毒症状として,めまい・過剰発汗・血圧低下・心拍の異常・嘔吐などが出現します.回復は早く,致命率は低いとされていますが,大量摂取の際は受診が必要となります.

≪中毒を引き起こす作用機序≫
①グラヤノトキシンが細胞上のナトリウムチャンネルに結合して,興奮と脱分極を継続させる.
     ↓
②筋小胞体から細胞内にカルシウムイオンが流出し,骨格筋や心筋の収縮が強まる.
     ↓
③不整脈などの期外収縮症状や迷走神経の刺激により麻痺症状なども現れる.

☆最後に...
日本産のはちみつに関しては問題ないとされており,はちみつ購入の際には原産地を確認することが重要です.主にトルコ周辺国原産のはちみつに注意する必要がありますが,念のため海外製のはちみつは控えた方が良いといわれているようです.

(今回は4階西病棟 看護師 大久保智子 が担当しました)