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投稿日時:2009年5月26日 16:11 火曜日

平成2年に旭川医大を卒業した私は、出身大学の皮膚科医局に入局し ました。同期(12期)の入局者は他に3名いて、何れも道外 出身者ですが、皆道内各地で診療に従事し地域医療に貢献しています。 当時の医局の長である飯塚教授は、そろそろ還暦を迎える年頃ですが、 今もお元気で医局員を率い、研究と教育に励んでおられます。教授は北 大出身ですが、卒後9年で旭川医大皮膚科の講師の任に着き、その4年 後には教授になったという、大変優秀な研究者であり教育者、そしてあ とからつくづく思い知らされた事ですが、大変な人格者でした。私の一 番の恩師であり、今もこの地で勤務医を続けていられるのも教授や教室 の庇護があってこそです。

皮膚科学教室の研修プログラムは当時も今もそう大きく変わっていな い事から、非常に良く考えられたものだったと思います。最も特徴的だ と思うのは1年目から皮膚の病理と臨床をできる限りセットで教え込ま れる事です。皮膚の病理組織像と臨床像はほぼ1対1といっていい相関 関係にあり、病理を学ぶ事は臨床診断能力の向上に大いに役立ちます。 新入医局員には教授から皮膚病理組織学の名著、Walter Frederick Lever の Histopathology of the skin が入局祝いとしてプレゼ ントされます。当時第7版が出たばかりのその教科書は全940 ページと大変なボリュームでしたが、新入局者はそれを1年かけて通読 する事になります。毎週開かれる病理組織カンファレンスがその教科書 の各章20~40ページ分から出題されるからです。

病理組織カンファレンスは近着スライドカンファレンス(後 述)と並び研修プログラムの根幹を成すもので、医局員全員が参 加します。出題されるのは10枚弱の病理組織標本(プレパ ラート)で、診断など一切の臨床情報は(出題者を除 き)全ての医局員(教授や講師陣を含む)には伏せら
れています。教室員たちは各自それらの病理組織診断をつけるべく所見 をとるわけですが、特に1年目の研修医にとってはそれは大変難しい事 です。教育目的なので疾患ごとにその特徴を良く備えたなるべく典型的 な標本が選ばれているとはいえ、まだそれほど多くの標本を見慣れてい ない者の目には、そこに何が見えているのかさえ分からない事も多く、 ましてやどこが異常なのか正常なのかが分かりません。標本ごとに染色 の度合いや、切片の厚さなど条件も異なり、横並びにして比較する事も できません。唯一頼りにできるのは、先輩医師の助言ではなく、教授に プレゼントされた前述の教科書ですが、英文のため先ずその読解に多く の労力が割かれます。それに要する時間は外来と病棟での研修を併せた 時間に匹敵し、遊ぶ時間は殆どなくなり、自宅には睡眠と着替えのため だけに帰るだけになります。で、その成果を毎週全医局員の前で発表す るわけですが、物足りないと教授から質問攻めにされたり、そうやって 1年かけて皮膚病理組織学を一通り学ぶわけです。

近着スライドカンファレンスは、大学のみならず関連病院のベッドサ イドにて撮影された病変部の写真を持ち寄りスライドにしたものを映写 して討論し、個々人の経験を皆で共有しようとするものです。ここでも 1年目の研修医から順に所見を述べ臨床診断を挙げていくのですが、こ こでは研修医のみならず時には講師陣にまで教授から意見を求められる 事もあり、上級医にとっても気が抜けない、研修医にとってはさすが上 級医といったところを垣間見れ大変勉強になるカンファレンスでした。

もちろんこうしたカンファレンス以外にも外来で病棟で指導医から多 くの事を学び、半年後には名寄、士別、深川、富良野といった地域の基 幹病院への日帰り出張をこなせるレベルにまで育て上げられます。現在 は固定の常勤医のいるそれらの病院も、当時は常勤医不在のところも多 く、一人で外来をこなさなくてはなりませんが、ベテランの看護師さん に助けられ百名前後の患者を診る、というより捌くことを経験します。 さらに1年後には稚内や北見、旭川厚生といった常勤の指導医のいる臨 床研修指定病院に半~1年勤務し、本当の患者との付き合い方を学んで いきます。研修は一生涯続くものではありますが、卒後6年を目処に皮 膚科専門医を取得する事をの一つの到達点としています。

もし皮膚科の研修に興味を持ってここまで読んで下さった研修医や学 生の方がいらっしゃいましたら、参考にして頂ければ幸いです。事前に お申し込みさえ頂ければ当院の皮膚科外来は殆どいつでも見学可能です し、ここでは十分にお伝え出来ない皮膚科学や皮膚科診療の面白さをお 話ししたいと思います。但し残念ながら当院では経験出来る症例が質・ 量ともに圧倒的に少ないため、皮膚科をちゃんと診れる医師を志す方の 初期研修には私の母校をお奨め致します。

投稿者:皮膚科部長 浅賀 浩孝