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心得

投稿日時:2009年11月10日 16:20 火曜日

 医学部を卒業して四半世紀が過ぎました.年月とともに経験や知識が増えていくのは当然ですが,その反面急速に身体が衰えていき,結局,全体としては良くも悪くもないと言う,まるで エネルギー保存の法則のような現実に多少悲しくなります.
医業は系統だった知識や技術が必要ですが,その修得には多くの場合,伝統芸能の踏襲のような側面があります.昨今の充実した研修医制度や先輩からの指導も大切ではありますが,結局は先達の振る舞いを目の前でみて身体で覚え,自分からそのコツを気づき覚えていくという要素が大半を占めるはずです.教えられた知識は所詮対岸の火事で,自分でその本質に気づいてはじめて自分自身のものになっていきます.
今も昔も医者の数が少なく,また本来の医業以外の雑務の多さから,きちんと系統だって先輩から指導を受けたことはほとんどありません.しかしながら前述の理由でそれが必ずしも悪いことでもなければ,改善すべきだとも思いません.
最初の数年で,今でも自分のやり方として先輩から盗むまたは受け継いだことは2つあります.
1つ目は,人間としての心得で,患者さんに頭を下げることです.新しく赴任した親分(主任教授)は医局員にはきびしかったのですが,患者さんにはよく礼をしていました.回診では,「来週手術をさせいてもらいます」と言っては頭を下げ,「退院します」といわれて,「それはよかったでんな」と言って頭を下げます.これは実はなかなかできないことで,実際それまで,このように何かある度にきちんと頭をさげている医者をみたことがありませんでした.
2つ目は,臨床の心得です.「臨床医学は患者さんをできる限りよく観察してはじめて色々なことがわかってくる」という基本的なことで,「患者さんが教えてくれるんだよ」と口癖のように毎日聴かされました.実際その通りで,観察しなければいくら教科書からの知識があっても何の役にも立ちません.ですから,昨今のはやりのキーボードを使った電子カルテには全く共感できません.壊れたビデオの修理の際に,「ぴっ」と型番をスキャンして,「あっ,この部品はまだありますので,明日届いて,あさってには交換できます」というのは好きです.

投稿者:脳神経外科部長  黒川 泰任