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「ソツ啄(そったく)の機」小野寺 康博

投稿日時:2018年10月22日 08:44 月曜日

ソツ(口編に卒業の卒と言う字が私のコンピュータには無い):雛が殻の内側から殻を破ろうとして鳴き始めた音や様を言うらしい。

啄:親鶏が殻の外からつついて孵化させようとする時の音や様を言うらしい。
「逃してはならないチャンス」のことを言うらしい。元々は禅宗の用語らしい。
「ソツ啄の機」なんて滅多には無い代物とつい考えてしまう。
私もつい最近まではそう考えていた。

でも、もう還暦を過ぎてしばらく経つと、本当にそんなんでいいんだろうか?と思うようになって来た。

「逃してはならないチャンス」というものの捉え方が実はとても重要なのではないかのかなとつらつら考えるようになって、ふと「そんなの毎日そこら中にあるのではないのか?」と思うようになった。
なにげなく過ごしている日常の中で、ハッと気付いたら漫然とテレビの前に座ってリモコンで番組を切り替えながら時間単位の貴重な時が流れ去っていることに臍を噛んでしまったりする。

ついこの間に新年を迎えたばかりで、雪もようやく融けて新しい草の匂いに浮き浮きし、段々日が長くなって来たなあと新緑の木々の香りの中でなんとなく嬉しい気持ちで帰途についたり、今年の夏は結構暑いなあと夜中も窓を開けっ放しで寝ていたと思ったら、札幌では珍しい強い地震で車庫が開かなくなり、なんだか今年は強い台風が多いなあと思って新聞を見たり、テレビを観たりして北海道には来ないで欲しいなあなんて思っていたら、「あれ、もう来年の年賀ハガキを申し込む時期がそろそろ来るなあ」とあまりの時間の経過の速さに唖然とする始末。

動体視力が衰えて来ているのか、貴重な機会が目の前を通り過ぎていることにすら気付かないでいるような気がしてならない。

なんのための「逃してはならないチャンス」なんだかも捉えきれていない自分に傍観者でいる気分になることがある。
「人生百年時代」とは誰が言い出したのか知らないが、このままうかうかしていると仮に百年生きていたとして、「あっ」と言う間の時間の流れの中で、いつのまにかAIで動く自動運転の「乗り物」の中で自分がどこへ行こうとしているかふっと忘れてしまって外を呑気に眺めている高齢者を想像してしまいそうな気がして、そんな流れに抗う白髪の浦島太郎を夢想してしまうことがある。

流れに身を任せるというのも一法ではあると考えるが、どこに辿り着きたいのかせめて目的地みたいなものがあるはずではないかと思案しつつ、流れの中でさりげなく方向舵を切って行けるようにと思い、筋トレをし、野菜をなるべく多く食らい、読書に勤しむようにと「心がけて」いる今日この頃である。

投稿者:副院長 総合内科・腎臓科部長 小野寺 康博

「シロウトの時代、プロの時代」蘆田 知史

投稿日時:2018年10月10日 16:22 水曜日

今年度のノーベル医学生理学賞は、京都大学の本庶佑教授、米国テキサス大のジェームズ・アリソン教授が受賞した。受賞の内容は、免疫チェックポイントとよばれる分子PD-1、CTLA4の発見であり、これらの研究が癌の免疫療法を可能とするオブジーボなどの治療薬に結びついたためである。
これらのことは報道に詳しい。

私は1983-1988年の間、大学院生として免疫学の勉強をしていた時期がある。このころ、本庶先生は京大の教授として既に有名であり、T細胞レセプター遺伝子のリアレンジメント機構の研究でマサチューセッツ工科大学の利根川進教授とともにノーベル賞を受賞するのではないかといわれていた。
この研究ではノーベル賞を逃したが、その後のPD-1の研究で見事に受賞に輝いた。

大学院の時代、私はよく同僚といろいろな話をした。いまの研究は果たして学位論文になるのか、やってもやっても結果が出ないのはテーマが悪いのではないか、などよく愚痴をこぼしながら、来る日も来る日も細胞を培養し、マウスに注射し、電気泳動を行い、そんな日々を過ごしていた。このころ、指導教官に、「どうせ私たちのような大学院生はプロの研究者にはなれないと思う。臨床に戻ったら全く違う仕事をして、患者さんの内視鏡検査なんかの助手をするだけだから」と愚痴をこぼしたことがある。そのときに指導教官の先生、「アシダ、それは違うぞ。」といわれた。「これからの医学研究はシロウトの時代なんだ。研究のテーマは広く臨床をみている医学者が見つけ出し、自動化された研究機器をつかって患者の治療に直接結びつくような研究が行われる時代がきている」と話された。私はその言葉に感銘し、大学院を卒業した後も炎症性腸疾患についてのいろいろなことを研究テーマとして大学病院の生活を過ごしていた。その結果、いくつかの研究成果は後輩によってあらたな研究に繋げられ、現在のIBD診療に役立つものも出てきている。

現在私はシロウト研究者の時代を過ぎ、プロの臨床医としてがんばっている。本庶先生の生涯は報道で見る限りプロの研究者の根性と執念に満ちているように見受けられる。私もまだまだ臨床医としてがんばらなければと思うこの頃である。

投稿者:副院長 IBDセンター長 蘆田 知史

「ダイエットの話2」 辻 英樹

投稿日時:2018年10月2日 14:25 火曜日

 今も昔も変わらぬダイエットブームである。カロリー制限食品やRIZAP、腸内細菌、サプリメント、水ダイエットに、スレンダートーン。ネットやテレビを見ればそれこそ星の数ほど出てくる。最近はダイエットで名を売る芸能人?も存在して、面白く時に真剣に体験談を披露してくれる。「これでこんなに痩せたんだ!」きっと世間の関心も一昔前よりずっと高いに違いない。

 実は5年前、私はこのリレーエッセイで自分自身の「ダイエットの話」をした。私には40歳過ぎの頃に行ったダイエットの成功体験がある。やり方はいわゆる糖質制限。ご飯にパン、パスタにラーメン、砂糖の入ったジュース、コーヒーetc. これらの糖質を全て排除する。そして軽い散歩程度の運動を毎日行ったところ、半年弱で約13キロの体重減に成功した。「簡単じゃん。」そう思ったのが運の尽き。その後甘い誘惑に負けてしまい、またまた体重が微増してきたところまではエッセイに書いた。
 では前回から5年後、私の体重はどうなったのか?維持できたのか?また再び痩せることができたのか?それとも・・・・? 私を知っている人ならご存知であろう。見事にリバウンドしてしまったのである。ああ本当に情けない。原因は・・・「いつも美味しいものをお腹いっぱい食べたい」この単純な誘惑に勝てなかったのだ。私は負けてしまったのである。
 「短期間のプチダイエット」ならこの5年間でそれこそ10回はやった。成功体験があるのでやり方はいつも同じ。1か月位で3-5キロくらいなら簡単に痩せられる。これがいけない。また簡単に3-5キロ増えてしまうのである。「先の事はわからないんだから、美味しいものを今食べなきゃ損だよな」とか言ってまた食べちゃうのである。その都度後悔する自分がいる。「またダイエットやろ」その繰り返しの5年間であった。
 この5年間でわかったこと「自分はやっぱり食いしん坊で太りやすい体質である」「自分はいつでも痩せられるという自信がやっぱり良くない」「私という人間は基本的に変わらない」悔しいがこの3点である。私が尊敬する野球人野村克也さんは「進歩とは変化することである」と言っている。そこをいくと私は全く進歩していないという事になる。来年50になるトシだしもう仕方ないのか?私の体重が確実に減るにはどうすれば良いのか?問題はダイエット方法云々ではない。何か根本的な事を変えなきゃダメなんだろうな、と思うのである。

投稿者:副院長 外傷センター部長 辻 英樹

「厚生労働省の愚策」 和田 良正

投稿日時:2018年9月25日 14:10 火曜日

健康診断センター勤務の和田です。

厚生労働省には、我々の貴重な税金で高い給料もらっている公務員がたくさんいます。中でも、医師免許を持ちながら、実際の医療にほとんど関わる事無く、実践医療を知らない医者たちが、約250人もいます。これらの人間に、日本の医療が牛耳られているのですから、たまったものではありません。

一例を挙げてみましょう。
ある製薬会社から、『トレリーフ』という薬が最近出ました。パーキンソン病治療のレボドパ作用を増強するとの事です。薬価は、25mg錠で、1,115.90です(今日の治療薬 2018 P 958)。神経内科領域の薬で、知らない方も多いかもしれませんが、この薬剤の一般名は、『ゾニサミド』といいます。同じ会社から、同じ一般名の薬が、『エクセグラン』という薬剤名で古くか発売されています。抗てんかん薬で、薬価は、100mg錠で、29.80です(今日の治療薬 2018 P 921)。同じ薬剤なのに、薬効が新しいというだけで、こんなに薬価が跳ね上がるなんておかしと思いませんか。製薬会社、厚労省、有名大学教授などが、絡んでいるとしか思えません。医療費を削減せよと言っている横でこんなことをしている。他にも調べれば出てくると思います。

少子高齢化社会を向かえ、少なくとも我々は、地道に適切な薬剤使用に留意する必要があると思います。傷は消毒しない、認知症治療薬はむやみに増量しない、効かないインフルエンザワクチンは打たない等、医療費は削減可能です。厚労省の役人にだまされないようにしましょう。

思えば聖徳太子は、随から律令制度を輸入したとき、科挙制度(公務員に相当)だけは、日本の国柄に合わないとして、導入しませんでした。非常に先見の明があったと言わざるをえません。江戸末期までは機能していたのですが、明治に入り、時代は帝国列強主義時代へ突入し、これに対抗する形で、公務員制度を導入してしまいました。現在は、その最悪な成果が花開いているように感じます。夏目漱石が、『こころ』で吐露した、明治への嫌悪感、三島由紀夫が、晩年に嘆いた、極東の端に金儲けだけに汲々としている小さな国にならなければいいのですが。

投稿者:健康管理センター医師 和田 良正

「誕生」 中川 麗

投稿日時:2018年9月22日 12:23 土曜日

7年前の3月11日、父の誕生日。
生まれ故郷の福島が揺れた。
大切なものがたくさん海に連れ去られた。
その時、日本に生まれたのは絆だったという。

今年9月6日、母の誕生日。
第二の故郷となった北海道が揺れた。
混乱して大切なものを見失いそうになり、緊張に包まれた。
その時、暗闇の中に見えたものは光だったのかもしれない。


同じ屋根の下で働いているにも関わらず、なんとなく疎遠になってしまっていた人とも一丸となった。
私は、安心して頼れる人に恵まれている幸せ者だとわかった。
そして、家族や友人だけではなく、患者さん、地域の方々も、理解し、手を差し伸べてくださった。

みなが、ちょっとずつ我慢し、もう一歩踏み出した先に、光や日常が戻りつつある。


今年、4月9日、私の誕生日、4人の研修医が各部署に配属された。
複数の研修医が就職するのは、実に10年ぶりのことだ。
病院が揺れた。

来る、4月9日、さらに彼らの仲間は増える。
慣れた日常に変化がもたらされる。
彼らが衝突しながら切り開く道、その先には何が待っているのだろう。


若さと活力にあふれた彼らが生み出すもの
それは、きっと、この病院、そしてこの土地の希望だろう。

彼らがそれぞれの分野で、活躍する基礎を身につけられますように。
地球のはしっこ、宇宙のはて、どこにでも飛び出せる脚力といい出会いに恵まれますように。
そして、いつまでも、さまざまな角度からこの星を照らす希望でありつづけますように。

みなで、ちょっとずつ我慢し、もう一歩踏み出して、彼らの成長を支えながら、恩返ししてゆけたらと思います。

投稿者:副院長 プライマリセンター長 中川 麗